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子宮がんステージ4とは?子宮頸がん・子宮体がん別に生存率・余命・症状・治療法を解説

子宮がんステージ4の患者様とご家族の方へ

子宮がんステージ4とは、子宮にできたがんが、膀胱や直腸の内側(粘膜)まで広がっている、または肺・肝臓・骨や遠くのリンパ節などへ転移している状態を指します。「子宮がん」には、子宮の入り口にできる「子宮頸がん」と、子宮の奥にできる「子宮体がん」の2種類があり、原因も治療もまったく異なります。

ステージ4と告げられて不安の中にいる方に、最初にお伝えしたいことがあります。子宮頸がん・子宮体がんともに、ステージ4の5年生存率は2割台と、ほかの多くのがんのステージ4より高い水準です。さらに2022年以降、両方のがんで免疫チェックポイント阻害薬などの新しい薬が相次いで承認され、治療の選択肢は大きく広がりました。

がん免疫療法専門クリニックである日比谷内幸町クリニックが、子宮頸がん・子宮体がんそれぞれのステージ4の定義、生存率・余命の読み方、症状への対処、最新の治療、そして標準治療の効果が乏しくなった場合に検討できることまでを、わかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 子宮頸がんと子宮体がんの違い、それぞれのステージ4の定義
  • 生存率・余命の数字と、その正しい読み方
  • 出血・痛み・むくみなど症状への対処
  • 子宮頸がんの治療(化学放射線療法・免疫療法・新しい薬)
  • 子宮体がんの治療(免疫療法+化学療法・分子標的薬・ホルモン療法)
  • MMR検査とリンチ症候群
  • 性生活・更年期症状・心のケア

要点

  1. 子宮がんステージ4は、がんが膀胱・直腸の粘膜に広がった(4A)、または離れた臓器に転移した(4B)状態で、子宮頸がんと子宮体がんで治療が異なります。
  2. 5年生存率は子宮頸がん25.9%、子宮体がん21.5%(2014〜2015年診断例)と、ほかの多くのがんのステージ4より高い水準です。
  3. 子宮頸がんでは化学放射線療法や免疫療法を含む薬物療法、子宮体がんでは手術や免疫療法を含む薬物療法が治療の中心になります。
日比谷内幸町クリニック 院長 禹 雅祥

この記事の監修

日比谷内幸町クリニック 院長 禹 雅祥(う まさよし)

日本外科学会員。1987年群馬大学医学部卒業。東京医科歯科大学医学部附属病院第二外科、東京都立墨東病院 胸部心臓血管外科などで外科医としてがん治療に従事し、2005年より日比谷内幸町クリニック院長。3大治療と高度活性化NK細胞療法を併用した総合的治療を行っています。ドクター紹介はこちら

子宮がんステージ4とは【子宮頸がんと子宮体がんで異なります】

子宮がんステージ4(Ⅳ期)とは、がんが子宮から膀胱や直腸の粘膜にまで広がった状態、または肺・肝臓・骨・遠くのリンパ節などへ転移した状態です。まず、ご自身の診断が「子宮頸がん」か「子宮体がん」かを確認してください。

子宮頸がんと子宮体がんの違い

項目子宮頸がん子宮体がん
できる場所子宮の入り口(頸部)子宮の奥(体部)の内膜
主な原因ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染女性ホルモン(エストロゲン)の影響、肥満、糖尿病、遺伝(リンチ症候群)など
多い年代30〜40代にも多い50〜60代に多い
年間の患者数約1万人(2023年)約2万人(2023年)
主な組織型扁平上皮がん(約7割)、腺がん類内膜がんが多い。漿液性がん・明細胞がん・がん肉腫など悪性度の高いタイプも
ステージ4の主な治療4A:化学放射線療法
4B:薬物療法(抗がん剤+ベバシズマブ+免疫チェックポイント阻害薬など)
可能なら手術+薬物療法。薬物療法は抗がん剤+免疫チェックポイント阻害薬など

出典:国立がん研究センター がん統計(子宮頸部・子宮体部)/がん情報サービス「子宮頸がん」「子宮体がん」

子宮頸がんのステージ4Aと4B

ステージ状態
ステージ4Aがんが膀胱や直腸の内側の粘膜まで広がっている
ステージ4B肺・肝臓・骨、遠くのリンパ節などへの遠隔転移がある

なお、骨盤内や大動脈の周りのリンパ節への転移はステージ3C(遠隔転移ではない)に分類されます。4Aは骨盤の中にとどまっているため、放射線治療でがんを制御できる可能性があります。

子宮体がんのステージ4Aと4B

ステージ状態
ステージ4Aがんが膀胱や腸の内側の粘膜まで広がっている
ステージ4B腹腔内(お腹の中の膜)への転移、鼠径リンパ節への転移、肺・肝臓・骨などへの遠隔転移がある

子宮体がんは2023年に国際的な分類(FIGO分類)が改訂され、骨盤の外の腹膜への転移を4B、遠隔転移を4Cとする新しい分け方も使われ始めています。ご自身のステージがどの分類によるものかを主治医に確認すると、情報を正しく読み取れます。

出典:日本産科婦人科学会・日本病理学会『子宮頸癌取扱い規約』『子宮体癌取扱い規約』(FIGO分類)

ステージ4は「末期がん」と同じではない

末期がんとは、厚生労働省の資料では「治癒を目指した治療に反応せず、進行性かつ治癒困難又は治癒不能と考えられる状態と医師が総合的に判断した場合」とされ、病期ではなく「有効な治療手段がなくなった状態」を指す言葉です。子宮がんステージ4では、放射線治療、手術、抗がん剤、免疫チェックポイント阻害薬など、効果が期待できる治療が数多く残されています。

子宮がんステージ4の生存率【頸がん5年25.9%・体がん5年21.5%】と数字の正しい読み方

国立がん研究センターの院内がん登録によると、ステージ4の5年生存率(ネット・サバイバル)は、子宮頸がんが25.9%、子宮体がんが21.5%です。ステージ4と診断された方のおよそ4〜5人に1人が5年後も生存しているという数字で、ほかの多くのがんのステージ4と比べて高い水準です。

診断時のステージ子宮頸がん
5年(2014-15年)
子宮頸がん
10年(2012年)
子宮体がん
5年(2014-15年)
子宮体がん
10年(2012年)
ステージ194.9%91.0%94.7%92.0%
ステージ279.4%71.0%87.6%78.6%
ステージ364.0%52.6%65.7%61.9%
ステージ425.9%16.0%21.5%18.0%

5年と10年の数字は、診断年も対象の患者さんも異なる別々の集計です。ネット・サバイバルは、がん以外の病気などによる死亡の影響を取り除いた推計値です。

出典:国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム(子宮頸がん:5年1,304例・10年510例、子宮体がん:5年930例・10年301例のステージ4)

この数字だけで判断してはいけない理由

第一に、統計は古い治療時代のデータです。上記は2012〜2015年に診断された方の数字で、子宮頸がんのペムブロリズマブ併用療法(2022年承認)やチソツマブ ベドチン(2025年承認)、子宮体がんのレンバチニブ+ペムブロリズマブ(2021年承認)やデュルバルマブ併用療法(2024年承認)の効果は反映されていません。

第二に、同じステージ4でも経過は大きく異なります。4Aか4Bか、手術や放射線でがんを制御できたか、組織型、MMRやPD-L1などの検査結果、全身状態によって見通しは変わります。

第三に、生存率は「集団の平均像」であり、個人の余命を予言する数字ではありません。数字は「傾向を知る資料」として使い、ご自身の見通しは主治医に確認してください。

子宮がんステージ4の余命

医師から伝えられる「余命」は、同じような病状の患者さんの生存期間中央値(生存期間の短い順に並べたとき、ちょうど真ん中の値)に基づく目安で、平均ではありません。参考として、進行・再発の子宮頸がん・子宮体がんを対象とした主な臨床試験の成績を紹介します。

がん種・治療内容臨床試験全生存期間中央値など
【頸がん】化学療法+ベバシズマブ(一次治療)GOG24016.8か月(化学療法のみ13.3か月)
【頸がん】化学療法±ベバシズマブ+ペムブロリズマブ(一次治療)KEYNOTE-82626.4か月(プラセボ16.8か月)
PD-L1陽性(CPS≥1)では28.6か月(同16.5か月)
【頸がん】セミプリマブ(二次治療以降)EMPOWER-Cervical 112.0か月(化学療法8.5か月)
【頸がん】チソツマブ ベドチン(二次・三次治療)innovaTV 30111.5か月(化学療法9.5か月)
【体がん】レンバチニブ+ペムブロリズマブ(化学療法後)KEYNOTE-77518.3か月(化学療法11.4か月)
【体がん】化学療法+デュルバルマブ(±オラパリブ)(一次治療)DUO-E18か月時点の無増悪生存割合:デュルバルマブ37.8%、+オラパリブ42.0%(化学療法のみ21.7%)

出典:Tewari KS, et al. GOG240(Lancet 2017)/Monk BJ, et al. KEYNOTE-826 final OS(J Clin Oncol 2023)/Tewari KS, et al. EMPOWER-Cervical 1(NEJM 2022)/Vergote I, et al. innovaTV 301(NEJM 2024)/Makker V, et al. KEYNOTE-775(J Clin Oncol 2023)/Westin SN, et al. DUO-E(J Clin Oncol 2024)/アストラゼネカ プレスリリース(2024年11月22日)

子宮頸がんステージ4は何年生きられるか

一次治療で化学療法にペムブロリズマブを加えた臨床試験(KEYNOTE-826)では、生存期間の中央値が2年を超えました(26.4か月)。院内がん登録でも、ステージ4の子宮頸がんの約4人に1人が5年後も生存しています。一方、治療への反応や転移の広がりによって経過は大きく異なるため、「何年」と一律に言うことはできません。

余命を左右する主な要素

①4Aか4Bか(骨盤内にとどまるか、遠隔転移があるか)、②手術・放射線でがんを制御できたか、③組織型(子宮体がんの漿液性がん・がん肉腫などは進行が速い傾向)、④PD-L1・MMRなどの検査結果(免疫チェックポイント阻害薬の効果に関わる)、⑤全身状態と、腎機能(尿管の圧迫による水腎症)、⑥治療への反応です。

子宮がんステージ4は完治するのか

子宮がんステージ4の完治(治癒)は容易ではありませんが、不可能と決まっているわけではありません。10年生存率が子宮頸がんで16.0%、子宮体がんで18.0%という数字は、ステージ4と診断されても長く生存している方が一定の割合でいらっしゃることを示しています。

特に子宮頸がんのステージ4Aは、がんが骨盤の中にとどまっているため、化学放射線療法でがんが消える方もいます。子宮体がんでは、手術でがんを取り切れた場合や、MMR機能欠損(dMMR)で免疫チェックポイント阻害薬がよく効いた場合に、長期間がんが見えない状態が続くことがあります。「完治は容易ではない」という現実と、「長く病気を抑えている人がいる」という現実は、両方とも本当のことです。

子宮がんステージ4の症状(手遅れ・終末期の症状を含む)

子宮がんステージ4では、がんが骨盤の中で広がることによる症状と、転移先の症状がみられます。多くには対処法があります(5-12で解説)。

  • 不正出血・おりものの異常(量が多い、においがある、血が混じる)
  • 下腹部痛・腰痛・お尻や足の痛み(骨盤の神経への広がり)
  • 足のむくみ(リンパ節転移によるリンパの流れの滞り、血栓症)
  • 血尿・排尿の異常(膀胱への広がり)
  • 血便・便通の異常(直腸への広がり)
  • 尿が出にくい・腎臓の機能低下(尿管の圧迫による水腎症)
  • お腹の張り(子宮体がんの腹膜転移による腹水)
  • 咳・息切れ(肺転移)
  • 体重減少・だるさ

「手遅れ」「終末期」と言われる時期の症状

病気がさらに進むと、止まりにくい出血、強い痛み、足の強いむくみ、膀胱や直腸との間に穴があく「瘻孔(ろうこう)」(膣から尿や便が出る)、水腎症による腎機能の低下、腸閉塞、食べられない、強いだるさなどがみられることがあります。これらの多くは、止血のための放射線治療や処置、医療用麻薬を含む鎮痛薬、尿管ステント、人工肛門・尿路変向、緩和ケアなどで和らげることができます。我慢せず、医療チームに相談してください。

すぐ受診すべき危険なサイン

  • 大量の出血(ナプキンが1時間もたない、血のかたまりが出る、ふらつく)
  • 尿がほとんど出ない
  • 片足だけが急に腫れて痛む、急に息が苦しくなった(血栓症の疑い)
  • 便もガスも出ず、お腹が張って吐く
  • 治療中の38度以上の発熱。次の予約を待たずに病院へ連絡してください。

治療方針を決める検査(PD-L1・MMR検査を含む)

検査目的・わかること
内診・細胞診・組織診がんの確定診断と組織型(扁平上皮がん、腺がん、類内膜がん、漿液性がんなど)の判定
MRI・CT・PET-CTがんの広がり、リンパ節転移、遠隔転移の有無を調べる
膀胱鏡・直腸鏡膀胱・直腸の粘膜への広がり(ステージ4A)を確認する
腫瘍マーカー子宮頸がんではSCC(扁平上皮がん)、CEA、子宮体がんではCA125、CA19-9などを治療効果の目安に使う
PD-L1検査(子宮頸がん)がん組織のPD-L1の発現を調べる。ペムブロリズマブ併用療法の選択に関わる
MMR検査/MSI検査(子宮体がん)DNAの修復の仕組みに異常があるか(dMMR)を調べる。免疫チェックポイント阻害薬の効果予測と、リンチ症候群の手がかりになる
HER2検査・がん遺伝子パネル検査漿液性がんのHER2、まれな遺伝子異常など、治療薬の対象となる異常を調べる

出典:がん情報サービス「子宮頸がん」「子宮体がん」検査・治療/日本婦人科腫瘍学会ガイドライン

子宮頸がんステージ4の治療

ステージ4A:同時化学放射線療法が中心

がんが骨盤の中(膀胱・直腸の粘膜)にとどまるステージ4Aでは、体の外から照射する外部照射と、膣から子宮の中に線源を入れて内側から照射する腔内照射(小線源治療)を組み合わせ、同時に抗がん剤(シスプラチンなど)を投与する「同時化学放射線療法」が治療の中心です。2024年11月からは、局所進行の子宮頸がんに対して、化学放射線療法に免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブを加える治療も国内で承認されています。

ステージ4B:薬物療法が中心

遠隔転移のあるステージ4Bでは、全身に効く薬物療法が治療の中心です。一次治療では、プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)とパクリタキセルの併用に、ベバシズマブやペムブロリズマブを組み合わせます。症状のある部位(出血や痛みのある骨盤内の病変、骨転移など)には放射線治療を加えます。

治療法特徴主な副作用・留意点
TP療法/TC療法
(パクリタキセル+シスプラチン/カルボプラチン)
一次治療の基本となる抗がん剤の組み合わせ脱毛、しびれ、白血球減少、吐き気、腎機能障害(シスプラチン)
+ベバシズマブがんに栄養を送る血管の新生を抑える薬を追加。生存期間の延長が示されている高血圧、蛋白尿、出血、瘻孔(膀胱・直腸との穴)のリスク
+ペムブロリズマブPD-L1陽性(CPS≥1)の場合に追加。臨床試験で生存期間中央値が2年を超えた免疫関連有害事象(甲状腺機能異常、皮膚炎、大腸炎、肺炎など)
セミプリマブ(二次治療以降)化学療法後に増悪した場合の免疫チェックポイント阻害薬免疫関連有害事象
チソツマブ ベドチン(二次治療以降)がん細胞表面の組織因子を目印に抗がん剤を届ける抗体薬物複合体(ADC)。2025年3月承認目の症状(結膜炎・角膜障害)、末梢神経障害、出血。眼科での確認が必要

出典:がん情報サービス「子宮頸がん 治療」/日本婦人科腫瘍学会『子宮頸癌治療ガイドライン』/各薬剤の添付文書/ジェンマブ プレスリリース(2025年3月27日)

子宮体がんステージ4の治療

手術:取り切れる見込みがあれば検討

子宮体がんでは、ステージ4でも、子宮・卵巣・卵管の摘出に加え、お腹の中に広がったがんをできる限り取り除く手術(腫瘍減量手術)が検討されることがあります。手術でがんを取り切れた場合の成績が良いことが報告されており、手術の可否は全身状態とがんの広がりから判断されます。

薬物療法:免疫チェックポイント阻害薬の併用が標準に

子宮体がんの薬物療法は、2024年に大きく変わりました。一次治療では、抗がん剤(カルボプラチン+パクリタキセル)に免疫チェックポイント阻害薬デュルバルマブを加え、その後、MMR検査の結果に応じてデュルバルマブ単独、またはデュルバルマブ+PARP阻害薬オラパリブで維持療法を行う治療が国内で承認されています。

治療法特徴主な副作用・留意点
TC療法+デュルバルマブ
→維持療法
一次治療。dMMRの方はデュルバルマブ単独、pMMR(MMR機能正常)の方はデュルバルマブ+オラパリブで維持療法。2024年11月承認白血球減少、しびれ、脱毛、免疫関連有害事象、貧血・吐き気(オラパリブ)
TC療法/AP療法抗がん剤の組み合わせ(AP療法はドキソルビシン+シスプラチン)骨髄抑制、脱毛、吐き気、心臓への影響(ドキソルビシン)
レンバチニブ+ペムブロリズマブプラチナ製剤を含む化学療法の後に使う。分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用高血圧、蛋白尿、倦怠感、下痢、甲状腺機能低下、手足症候群
ペムブロリズマブ単独MSI-High(dMMR)の場合免疫関連有害事象
ホルモン療法
(黄体ホルモン薬など)
ホルモン受容体陽性で進行がゆっくりしたタイプの選択肢。体への負担が比較的少ない血栓症、体重増加

子宮体がんのステージ4では、骨盤内の出血や痛み、骨転移などに対して放射線治療を組み合わせることもあります。

出典:がん情報サービス「子宮体がん 治療」/日本婦人科腫瘍学会『子宮体がん治療ガイドライン』/アストラゼネカ プレスリリース(2024年11月22日)/各薬剤の添付文書

MMR検査とリンチ症候群(ご家族への影響)

子宮体がんの約2〜3割では、DNAの複製の誤りを直す仕組み(ミスマッチ修復:MMR)がうまく働いていません(dMMR)。dMMRのがんは免疫チェックポイント阻害薬が効きやすいことが知られており、MMR検査は治療選択のために重要です。

dMMRの一部は、生まれつきのMMR遺伝子の変異による「リンチ症候群」という遺伝性の体質が原因です。リンチ症候群では、子宮体がんのほか、大腸がん・卵巣がん・胃がん・尿路のがんなどのリスクが高くなり、血縁のご家族(子ども・きょうだい)が同じ体質を持っている確率は50%です。該当する可能性がある場合は、遺伝カウンセリングで、検査の意味、ご家族への伝え方、ご家族が受けられる検診(大腸内視鏡など)について相談できます。

出典:がん情報サービス「リンチ症候群」/日本遺伝性腫瘍学会

治療の効果はどのように判断する?

治療の効果は、MRI・CTなどの画像検査、腫瘍マーカー、症状の変化(出血や痛みが減ったかなど)を組み合わせて判断します。腫瘍マーカーは1回の数値ではなく推移で評価し、画像と合わせて主治医と確認してください。免疫チェックポイント阻害薬では、治療の初期に画像上がんが一時的に大きく見えることがあるため、1回の画像だけで治療を変更しないこともあります。がんが小さくならなくても、大きくならずに安定している状態を保つことは、それ自体が治療の成果です。

出血・痛み・むくみ・水腎症・瘻孔への対処

子宮がんステージ4では、骨盤の中でがんが広がることによる症状が生活に大きく影響します。多くの症状には対処法があります。

【出血】がんからの出血には、止血を目的とした放射線治療、止血剤、膣内のガーゼ圧迫などで対処します。大量の出血には、カテーテルで出血している血管をふさぐ動脈塞栓術が行われることもあります。

【痛み】下腹部・腰・お尻・足の痛みには、医療用麻薬を含む鎮痛薬を段階的に使います。骨盤の神経への広がりによる痛みには、鎮痛補助薬や放射線治療、神経ブロックも検討されます。適切に使う医療用麻薬が寿命を縮めたり「中毒」になったりすることはありません。

【むくみ】足のむくみは、リンパ節転移や治療後のリンパ浮腫によることが多く、弾性ストッキング、マッサージ、スキンケアで和らげます。片足だけの急な腫れや痛みは血栓症の可能性があるため、すぐ受診してください。

【水腎症】がんが尿管を圧迫して腎臓に尿がたまる水腎症には、尿管ステントや、背中から腎臓に管を入れる腎ろうで尿の通り道を確保し、腎臓の働きを守ります。腎臓の働きが保たれることは、抗がん剤治療を続けるためにも重要です。

【瘻孔】がんや治療の影響で膀胱や直腸と膣の間に穴があき、膣から尿や便が出る「瘻孔」が起こることがあります。人工肛門や尿路変向術で生活の質を取り戻すことができますので、恥ずかしがらずに相談してください。

出典:がん情報サービス「子宮頸がん」「子宮体がん」療養/日本緩和医療学会ガイドライン

性生活・更年期症状・心のケア

子宮がんは、女性としての体やパートナーとの関係、子育て中の生活に深く関わるがんです。とくに子宮頸がんは30〜40代にも多く、治療と仕事・子育てを両立しながら悩みを抱える方が少なくありません。

【更年期症状】手術で卵巣を摘出したり、放射線治療で卵巣の働きが失われたりすると、ほてり・発汗・気分の落ち込み・骨密度の低下などの更年期症状が急に現れることがあります。子宮頸がんの多くのタイプでは、ホルモン補充療法を検討できる場合があります(子宮体がんでは慎重に判断します)。

【性生活】放射線治療後は膣が狭く乾燥しやすくなることがあり、潤滑剤の使用などで対処できます。出血や痛みが心配なときは、主治医や看護師に相談してください。「聞きにくい」と感じる話題ですが、医療者にとっては大切な相談内容です。

【心のケア】気持ちの落ち込みや不安が続くときは、緩和ケアチームの公認心理師や精神腫瘍科医に相談できます。お子さんへの伝え方についても、がん相談支援センターなどで相談できます。

緩和ケアは診断時から受けられる

緩和ケアは「最期の医療」ではなく、がんと診断されたときから、がんへの治療と並行して受けられるケアです。出血・痛み・むくみなどの身体症状、不安や気持ちの落ち込み、ご家族の悩み、費用や仕事の相談までを多職種チームが支えます。通院中の病院のほか、緩和ケア病棟や在宅でも受けられます。全国のがん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター」は、その病院にかかっていなくても無料で相談できます。

出典:がん情報サービス「緩和ケア」「がん相談支援センター」

子宮がんの最新治療と臨床試験

子宮頸がん・子宮体がんでは、新しい抗体薬物複合体(ADC)、免疫チェックポイント阻害薬の新しい組み合わせ、HER2を狙う薬などの開発が進んでいます。気になる治療を見つけたときは、「国内で承認されているか」「保険が使えるか」「臨床試験として受けられるか」を主治医に確認してください。臨床試験は、がん情報サービスの「がんの臨床試験を探す」や、国の臨床研究データベース(jRCT)で探すことができます。

出典:がん情報サービス「がんの臨床試験を探す」/臨床研究等提出・公開システム(jRCT)

標準治療の効果が乏しくなった場合の選択肢

「もう治療がない」と言われてしまうことがあります。しかし、その言葉の意味は多くの場合「保険診療の標準治療の選択肢が残り少ない」ということであり、確認・検討できることはまだ残されています。

①未使用の標準治療の確認:子宮頸がんではセミプリマブ、チソツマブ ベドチン、子宮体がんではレンバチニブ+ペムブロリズマブ、ホルモン療法など、まだ使っていない治療がないかを確認します。

②がん遺伝子パネル検査:MSI-High、HER2などの異常が見つかれば、適合する薬や臨床試験の対象になることがあります。

③治験・臨床試験:新しいADCや併用療法の治験が行われています。

④免疫細胞療法などの自由診療:ご自身の免疫細胞を活性化して体内に戻す治療で、標準治療との併用や、標準治療の継続が難しい場合の選択肢として検討されることがあります。公的保険適用外(全額自己負担)であり、大規模臨床試験による効果の証明は確立していないため、内容・費用・期待できることと限界を十分確認したうえで選択することが重要です。

⑤セカンドオピニオン:放射線治療の方法、手術の可能性、治験の情報は施設によって差があります。婦人科腫瘍の診療実績が豊富な施設の意見を聞くことは、納得して治療を進めるための正当な手段です。

当院の子宮がんステージ4に対する治療【高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法】

日比谷内幸町クリニックは、がん免疫療法を専門とするクリニックとして、子宮頸がん・子宮体がんステージ4の患者様に「高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法」を提供しています。患者様ご自身の血液から免疫細胞(NK細胞など)を取り出し、約2週間かけて数百倍〜数千倍に増殖・活性化させ、点滴で体内へ戻す治療法です。

【特徴1:標準治療と併用できます】化学放射線療法、抗がん剤などの標準治療と併用が可能です。主治医の病院での標準治療を続けながら、当院が免疫細胞療法を担当する連携体制を取るため、転院は不要です。免疫チェックポイント阻害薬による治療中の方は、主治医と治療内容を共有したうえで、併用の時期や方法を個別に判断します。

【特徴2:副作用が少なく、QOLを保ちやすい治療です】ご自身の細胞を用いるため、抗がん剤のような強い副作用は報告されていません(一時的な発熱・倦怠感等が生じる場合があります)。採血と点滴のみの通院治療で、仕事や子育てとの両立も考慮して計画できます。

【特徴3:標準治療が困難になった場合でも検討できます】「これ以上の治療は難しい」と言われた場合でも、採血が可能で全身状態が許す場合には治療を検討できます。

【治療の流れ】①専門医師による無料相談 → ②診察・採血 → ③約2週間の培養 → ④点滴投与 → ⑤経過観察・効果判定。

【費用・リスクについて】本治療は公的医療保険が適用されない自由診療です(費用は治療内容・回数により異なります。詳しくは治療費用のページをご覧ください)。副作用としてまれに発熱・倦怠感等が生じることがあります。効果には個人差があり、効果を保証するものではありません。

診断されたら:主治医に確認したいこと・ご家族ができること

【主治医に確認したいこと】

  • 子宮頸がんですか、子宮体がんですか。組織型は
  • ステージは4Aですか、4Bですか。その根拠は
  • PD-L1検査(頸がん)・MMR検査(体がん)の結果は
  • 提案された治療の目的と、想定される効果・副作用は
  • 手術や放射線治療の可能性は
  • 効果が乏しくなった場合の次の選択肢は
  • 遺伝カウンセリングの必要はありますか
  • 費用の目安と使える制度は

【ご家族ができること】①診察に同席してメモを取る、②大量の出血・尿が出ない・片足の急な腫れなど、急を要する変化に気づいたらすぐ病院へ連絡できるよう、連絡先を共有する、③家事や子育てを分担し、通院や休息の時間を確保する、④性生活や体の変化の悩みは本人が話しにくいことを理解し、医療者への相談を後押しする、⑤リンチ症候群などの遺伝の話題は、本人の気持ちを尊重しながら遺伝カウンセリングの場も活用する、⑥ご家族自身も相談支援の対象であることを忘れない。

治療と生活:仕事・子育て・医療費

【仕事・子育て】薬物療法の多くは外来で受けられます。化学放射線療法の期間(約6〜7週間)は平日ほぼ毎日の通院が必要になるため、職場や家族と早めに相談しましょう。がん相談支援センターでは、両立支援や、子どもへの病気の伝え方についても相談できます。

【食事】「これを食べればがんが治る」という食品はありません。放射線治療中は下痢が起こりやすいため、消化の良い食事を心がけます。

【医療費】保険診療には高額療養費制度が適用され、1か月の自己負担には上限があります。医療費控除、傷病手当金、障害年金、介護保険(40歳以上で末期がんと診断された場合)などの制度もあります。医療ソーシャルワーカーに早めに相談してください。

出典:がん情報サービス「がんとお金」「がんと仕事」

子宮がんステージ4に関するよくある質問(FAQ)

子宮がんステージ4は末期がんと同じですか?

いいえ、同じではありません。末期がんとは「治癒を目指した治療に反応せず、治癒困難と医師が判断した状態」を指す言葉で、病期とは別の概念です。子宮がんステージ4では、化学放射線療法、手術、抗がん剤、免疫チェックポイント阻害薬など、効果が期待できる治療が数多く残されています。

子宮頸がんステージ4は何年生きられますか?

一律には決まりませんが、院内がん登録ではステージ4の子宮頸がんの5年生存率は25.9%、10年生存率は16.0%です。化学療法にペムブロリズマブを加えた臨床試験では、生存期間の中央値が2年を超えました(26.4か月)。4Aか4Bか、治療への反応、全身状態で大きく異なるため、ご自身の見通しは主治医に確認してください。

子宮体がんステージ4の生存率はどのくらいですか?

国立がん研究センターの院内がん登録によると、子宮体がんステージ4の5年生存率(ネット・サバイバル)は21.5%(2014〜2015年診断例)、10年生存率は18.0%(2012年診断例)です。2021年以降に承認されたレンバチニブ+ペムブロリズマブや、2024年承認のデュルバルマブ併用療法などの効果は反映されていません。

子宮がんの手遅れの症状とはどんなものですか?

止まりにくい出血、下腹部・腰・足の強い痛み、足のむくみ、血尿・血便、尿が出にくい(水腎症)、膣から尿や便が出る(瘻孔)、お腹の張りなどが挙げられます。ただし、これらの症状があっても治療や症状の緩和はできます。「手遅れ」とあきらめず、主治医や緩和ケアチームに相談してください。

子宮頸がんの終末期にはどんな症状が出ますか?

出血、骨盤や腰・足の痛み、足のむくみ、水腎症による腎機能の低下、食べられない、強いだるさなどがみられることがあります。止血のための放射線治療、医療用麻薬を含む鎮痛薬、尿管ステント、むくみのケアなどで和らげることができ、緩和ケアは病院・緩和ケア病棟・自宅のいずれでも受けられます。

子宮がんステージ4でも元気に過ごしている人はいますか?

はい、いらっしゃいます。子宮頸がん・子宮体がんともにステージ4の5年生存率は2割台で、治療を続けながら仕事や家事、子育てを続けている方もいます。免疫チェックポイント阻害薬がよく効いた方の中には、長期間がんが安定している方もいます。ただし経過は人によって大きく異なります。

子宮頸がんと子宮体がんはどう違いますか?

子宮頸がんは子宮の入り口にでき、主な原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染で、30〜40代にも多いがんです。子宮体がんは子宮の奥の内膜にでき、女性ホルモンや肥満などが関係し、50〜60代に多いがんです。ステージ4の治療も異なり、頸がんは化学放射線療法や薬物療法、体がんは手術や薬物療法が中心です。

子宮がんステージ4は完治しますか?

完治は容易ではありませんが、不可能と決まっているわけではありません。10年生存率は子宮頸がん16.0%、子宮体がん18.0%です。子宮頸がんのステージ4Aでは化学放射線療法でがんが消える方もおり、子宮体がんでは手術で取り切れた場合や、免疫チェックポイント阻害薬がよく効いた場合に長期間がんが見えない状態が続くことがあります。

子宮頸がんステージ4では手術はできますか?

子宮頸がんのステージ4では、手術で根治を目指すことは一般的ではありません。ステージ4Aでは放射線治療と抗がん剤を同時に行う化学放射線療法、ステージ4Bでは薬物療法が治療の中心です。ただし、瘻孔や腸閉塞などの症状を和らげるための手術(人工肛門など)が行われることがあります。

子宮体がんステージ4では手術はできますか?

全身状態とがんの広がりによっては、ステージ4でも子宮・卵巣の摘出と、お腹の中に広がったがんをできる限り取り除く手術が検討されます。がんを取り切れた場合の成績が良いことが報告されています。手術が難しい場合は、抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた薬物療法が中心です。

免疫チェックポイント阻害薬は使えますか?

使える場合があります。子宮頸がんでは、PD-L1陽性の場合に一次治療で化学療法にペムブロリズマブを加える治療や、二次治療以降のセミプリマブがあります。子宮体がんでは、一次治療で化学療法にデュルバルマブを加える治療、化学療法後のレンバチニブ+ペムブロリズマブがあります。PD-L1検査やMMR検査の結果で選び方が変わります。

MMR検査とは何ですか?遺伝は関係しますか?

MMR検査は、がん細胞のDNAの修復の仕組みに異常(dMMR)があるかを調べる検査で、子宮体がんの約2〜3割にみられます。dMMRのがんは免疫チェックポイント阻害薬が効きやすいことがわかっています。一部は遺伝性の「リンチ症候群」が原因で、その場合はご家族も大腸がんなどのリスクが高いため、遺伝カウンセリングで相談できます。

出血が止まりません。どうすればいいですか?

止血を目的とした放射線治療、止血剤、膣内のガーゼ圧迫などで対処します。大量の出血では、カテーテルで血管をふさぐ動脈塞栓術が行われることもあります。ナプキンが1時間もたない、血のかたまりが出る、ふらつくといった場合は、次の予約を待たずにすぐ病院へ連絡してください。

標準治療が効かなくなったらどうすればいいですか?

未使用の薬(子宮頸がんのチソツマブ ベドチンやセミプリマブ、子宮体がんのレンバチニブ+ペムブロリズマブなど)の確認、がん遺伝子パネル検査、治験・臨床試験への参加、免疫細胞療法などの自由診療といった選択肢を整理します。「もう治療がない」と言われた場合も、確認・検討できることは残っています。

免疫細胞療法は標準治療と併用できますか?

当院の高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法は、抗がん剤・放射線治療などの標準治療を妨げにくい治療法であり、併用が可能です。免疫チェックポイント阻害薬による治療中の方は、主治医と治療内容を共有したうえで、併用の時期や方法を個別に判断します。本治療は公的保険適用外の自由診療です。

仕事や子育てを続けながら治療できますか?

薬物療法の多くは外来で受けられ、治療スケジュールに合わせて仕事や家事、子育てを続けている方もいます。化学放射線療法の期間は平日ほぼ毎日の通院が必要になるため、職場や家族との調整が大切です。がん相談支援センターでは、治療と仕事の両立や、子どもへの伝え方についても相談できます。

まとめ:子宮がんステージ4でも、治療の選択肢は増えています

子宮がんステージ4は進行した状態ですが、子宮頸がん・子宮体がんともに5年生存率は2割台と、ほかの多くのがんのステージ4より高い水準です。2022年以降、免疫チェックポイント阻害薬や抗体薬物複合体が相次いで承認され、治療の選択肢は大きく広がりました。出血や痛み、むくみなどの症状にも、和らげる方法があります。

大切なのは、①頸がんか体がんか、4Aか4Bかを正しく知ること、②PD-L1・MMRなどの検査を受けて治療の選択肢を確認すること、③症状を我慢せず、体と心のつらさを医療チームに相談すること、④治療の選択肢(二次治療・新しい薬・治験・免疫細胞療法・セカンドオピニオン)を早めに整理しておくことです。

日比谷内幸町クリニックでは、子宮がんステージ4の患者様とご家族を対象に、専門医師による無料相談を実施しています。「標準治療と併用できる治療を探している」「これ以上の治療は難しいと言われた」という方は、お一人で悩まず、お気軽にご相談ください。(受付時間:平日9:00〜17:00/お電話・WEBフォームで受付)

参考文献

監修

日比谷内幸町クリニック 院長 禹 雅祥(う まさよし)/日本外科学会員 医師紹介ページ

本ページの情報は一般的な医学情報であり、個々の診断・治療方針に代わるものではありません。統計値・薬剤情報は公開日時点の公開情報に基づきます。治療効果には個人差があります。ご自身の病状については主治医にご確認ください。

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