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腎臓がんステージ4とは?生存率・余命・症状・最新の治療法をわかりやすく解説

腎臓がんステージ4の患者様とご家族の方へ

腎臓がんステージ4とは、腎臓にできたがんが、腎臓を包む膜(ゲロタ筋膜)を越えて周囲に広がっている状態、または肺・骨・リンパ節・肝臓・脳などの離れた臓器へ転移している状態を指します。「ステージ4」と告げられ、生存率や余命を調べて不安を抱えている方も多いと思います。

腎臓がんは、この10年で治療が最も大きく進歩したがんの一つです。免疫チェックポイント阻害薬がよく効くがんとして知られ、複数の薬を組み合わせる「複合免疫療法」が標準治療になりました。臨床試験では、9年以上の追跡で効果が長く続く方がいることが確認されており、画像上がんが消える「完全奏効」に至る方もいます。

がん免疫療法専門クリニックである日比谷内幸町クリニックが、腎臓がんステージ4の定義、生存率・余命の読み方、治療を選ぶためのリスク分類、最新の薬物療法、手術や放射線治療の役割、そして標準治療の効果が乏しくなった場合に検討できることまでをわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 腎臓がんステージ4がどのような状態か(慢性腎臓病のステージ4との違い)
  • 生存率・余命の数字と、その正しい読み方
  • 治療を選ぶための「IMDCリスク分類」
  • 複合免疫療法・分子標的薬による薬物療法
  • 腎臓の摘出・転移の切除・放射線治療・経過観察
  • 骨転移・脳転移への対処
  • 片方の腎臓での生活

要点

  1. 腎臓がんステージ4は、がんが腎臓を包む膜を越えて広がった、または肺・骨などの離れた臓器に転移した状態で、慢性腎臓病の「ステージ4」とは別のものです。
  2. 治療の中心は、免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた複合免疫療法などの薬物療法で、リスク分類や全身状態に応じて選びます。
  3. 5年生存率は18.7%(2014〜2015年診断例)ですが、その後に標準となった複合免疫療法の効果は反映されていません。
日比谷内幸町クリニック 院長 禹 雅祥

この記事の監修

日比谷内幸町クリニック 院長 禹 雅祥(う まさよし)

日本外科学会員。1987年群馬大学医学部卒業。東京医科歯科大学医学部附属病院第二外科、東京都立墨東病院 胸部心臓血管外科などで外科医としてがん治療に従事し、2005年より日比谷内幸町クリニック院長。3大治療と高度活性化NK細胞療法を併用した総合的治療を行っています。ドクター紹介はこちら

腎臓がんステージ4とは【がんが腎臓の周りの膜を越える、または離れた臓器へ転移した状態】

腎臓は、腰の少し上、背中側の左右に1つずつある臓器で、血液をろ過して尿をつくっています。腎臓がん(腎細胞がん)ステージ4(Ⅳ期)とは、腎臓にできたがんが、腎臓と周りの脂肪を包む膜(ゲロタ筋膜)を越えて広がっている状態、または離れた臓器へ転移している状態です。

腎・尿路(膀胱を除く)のがんは2023年に約3万1千人が新たに診断され、2024年には約1万人が亡くなっています(腎盂・尿管のがんを含む数字)。男性に多く、院内がん登録では腎がんの診断時の平均年齢は66歳です。

出典:国立がん研究センター がん統計(腎・尿路(膀胱除く))/院内がん登録生存率集計結果閲覧システム(腎がん)

「腎臓がんのステージ4」と「慢性腎臓病のステージ4」は別のものです

「腎臓 ステージ4」と調べると、慢性腎臓病(CKD)の情報が表示されることがあります。慢性腎臓病のステージ(G1〜G5)は、腎臓の働き(ろ過する力)がどの程度落ちているかを示すもので、がんの広がりを示す腎臓がんのステージとはまったく別のものです。慢性腎臓病のステージ4は、腎臓の働きが高度に低下した状態を指し、食事療法や薬で進行を遅らせる治療が行われます。このページでは、腎臓にできる「がん」のステージ4について解説します。

ステージ4の2つのパターン

パターン状態治療の考え方
局所で深く広がったステージ4がんがゲロタ筋膜を越えて、または同じ側の副腎に直接広がっている(遠隔転移はない)手術でがんを取り切れるかを検討。難しい場合は薬物療法
遠隔転移のあるステージ4肺・骨・肝臓・脳・遠くのリンパ節などへ転移している薬物療法が中心。条件によって腎臓の摘出や転移の切除・放射線治療を組み合わせる

出典:UICC TNM分類第8版/日本泌尿器科学会『腎癌取扱い規約』/がん情報サービス「腎細胞がん」

腎臓がんの種類(組織型)

腎細胞がんの7〜8割は「淡明細胞型」と呼ばれるタイプで、薬物療法の臨床試験の多くはこのタイプを対象にしています。そのほか、乳頭状腎細胞がん、嫌色素性腎細胞がんなどの「非淡明細胞型」があり、薬の効き方や治療の選び方が異なることがあります。腎臓の出口(腎盂)にできる「腎盂がん」は、膀胱がんに近い性質を持つ別のがんで、治療も異なります。

腎臓がんが転移しやすい部位

腎臓がんの転移で最も多いのは肺で、次いで骨、リンパ節、肝臓、副腎、脳などです。膵臓など、ほかのがんではまれな部位に転移することもあります。また腎臓がんは、手術から10年以上たってから再発・転移が見つかることもある、ゆっくり進む場合があるがんです。

ステージ4は「末期がん」と同じではない

末期がんとは、厚生労働省の資料では「治癒を目指した治療に反応せず、進行性かつ治癒困難又は治癒不能と考えられる状態と医師が総合的に判断した場合」とされ、病期ではなく「有効な治療手段がなくなった状態」を指す言葉です。腎臓がんステージ4では、複合免疫療法、分子標的薬、手術、放射線治療など、多くの治療が行われ、その効果が期待できます。

腎臓がんステージ4の生存率【5年18.7%】と数字の正しい読み方

国立がん研究センターの院内がん登録によると、腎がんステージ4の5年生存率(ネット・サバイバル)は18.7%、10年生存率は8.4%です。ステージ4と診断された方のおよそ5人に1人が5年後も生存しているという数字です。

診断時のステージ5年生存率
(2014〜2015年診断例)
10年生存率
(2012年診断例)
ステージ194.9%83.6%
ステージ287.9%73.7%
ステージ376.5%53.5%
ステージ418.7%8.4%

5年と10年の数字は、診断年も対象の患者さんも異なる別々の集計です。ネット・サバイバルは、がん以外の病気などによる死亡の影響を取り除いた推計値で、実際に生存していた割合(実測生存率)はステージ4の5年で17.2%です。

出典:国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム(腎がん。5年:2014-2015年診断例1,341例、10年:2012年診断例583例のステージ4)

この数字だけで判断してはいけない理由

第一に、統計は複合免疫療法が登場する前のデータです。上記は2012〜2015年に診断された方の数字で、当時の薬物療法は分子標的薬が中心でした。ニボルマブ+イピリムマブ(2018年承認)をはじめとする複合免疫療法が標準となった現在の治療環境は、当時とは大きく異なります。

第二に、同じステージ4でも経過は大きく異なります。IMDCリスク分類(5-7)、転移の数と場所、組織型、全身状態によって見通しは大きく変わります。

第三に、生存率は「集団の平均像」であり、個人の余命を予言する数字ではありません。数字は「傾向を知る資料」として使い、ご自身の見通しは主治医に確認してください。

腎臓がんステージ4の余命

医師から伝えられる「余命」は、同じような病状の患者さんの生存期間中央値(生存期間の短い順に並べたとき、ちょうど真ん中の値)に基づく目安で、平均ではありません。参考として、進行・転移性の腎細胞がん(主に淡明細胞型)を対象とした主な臨床試験の成績を紹介します。

治療内容臨床試験主な成績
ニボルマブ+イピリムマブ(一次治療)CheckMate 214(追跡9年以上)全生存期間中央値52.7か月(スニチニブ37.8か月)
中・高リスク群:46.7か月(同26.0か月)
ペムブロリズマブ+アキシチニブ(一次治療)KEYNOTE-426全生存期間中央値47.2か月(スニチニブ40.8か月)
ニボルマブ+カボザンチニブ(一次治療)CheckMate 9ER全生存期間中央値46.5か月(スニチニブ35.5か月)
ペムブロリズマブ+レンバチニブ(一次治療)CLEAR無増悪生存期間中央値23.9か月(スニチニブ9.2か月)、完全奏効約17%
カボザンチニブ(二次治療以降)METEOR全生存期間中央値21.4か月(エベロリムス16.5か月)

出典:Motzer RJ, et al. CheckMate 214 final analysis(ASCO 2025)/Rini BI, et al. KEYNOTE-426 final analysis(ASCO 2023)/Tannir NM, et al. CheckMate 9ER(Ann Oncol 2024)/Motzer R, et al. CLEAR(NEJM 2021/最終解析 J Clin Oncol 2024)/Choueiri TK, et al. METEOR(Lancet Oncol 2016)

ステージ4のがんで「助かる確率」は?

腎臓がんステージ4では、およそ5人に1人が5年後も生存しており(院内がん登録)、複合免疫療法の臨床試験では全生存期間の中央値が4年前後に達しています。また、ニボルマブ+イピリムマブでは、9年以上の追跡でも効果が続いている方がいることが報告されています。「助かる」の意味を「完治」とするか「長く病気を抑えて過ごす」とするかで答えは変わりますが、腎臓がんは後者の可能性が大きく広がったがんと言えます。

余命を左右する主な要素

①IMDCリスク分類(低・中・高リスク)、②転移の数と場所(肺だけか、骨・脳・肝臓にもあるか)、③組織型(淡明細胞型か、肉腫様の成分を含むか)、④全身状態、⑤治療への反応、⑥転移の切除や放射線でがんを制御できるかです。

腎臓がんの進行スピードは?

腎臓がんの進行スピードは、人によって大きく異なります。何年もかけてゆっくり大きくなる転移もあれば、比較的速く進むタイプ(肉腫様の成分を含むものなど)もあります。ゆっくり進むタイプでは、すぐに薬物療法を始めず、定期的な画像検査で経過を見ることもあります(5-10)。

腎臓がんステージ4は完治するのか

腎臓がんステージ4の完治(治癒)は容易ではありませんが、腎臓がんは「完治に近い状態」が期待できる場合がある数少ないがんの一つです。

複合免疫療法では、画像上がんが見えなくなる「完全奏効」に至る方が1〜2割程度報告されており、その中には治療を中止した後も長期間がんが見えない状態が続く方もいます。また、転移が肺などの限られた場所にとどまる場合、転移をすべて手術で取り除くこと(転移巣切除)で、長期生存が得られることがあります。「完治は容易ではない」という現実と、「長く病気を抑えている人、がんが見えない状態を保っている人がいる」という現実は、両方とも本当のことです。

腎臓がんステージ4の主な症状

腎臓がんは、初期にはほとんど症状がなく、健康診断や別の病気の検査で偶然見つかることが多いがんです。ステージ4では、腎臓のがんによる症状と、転移先の症状がみられることがあります。

  • 血尿(目で見て赤い尿、または検査でわかる血尿)
  • わき腹や背中の痛み、お腹のしこり
  • 発熱、体重減少、だるさ、食欲不振
  • 貧血
  • 高カルシウム血症(のどの渇き、吐き気、意識がぼんやりする)
  • 左の陰のうの静脈のふくらみ(精索静脈瘤)
転移部位主な症状対処の方向性
肺(最多)咳、血痰、息切れ(無症状のことも多い)薬物療法、限られた転移は切除・定位放射線
骨痛み、骨折、脊髄の圧迫による手足のしびれ・麻痺放射線治療、骨を守る薬、手術
リンパ節多くは無症状薬物療法
肝臓・副腎・膵臓多くは無症状。大きくなると腹部の違和感薬物療法、限られた転移は切除
脳頭痛、吐き気、手足の麻痺、けいれん、言葉の出にくさ定位放射線治療(ガンマナイフ等)、手術

すぐ受診すべき危険なサイン

  • 手足のしびれ・力が入らない、尿や便が出にくい(骨転移による脊髄の圧迫の疑い。緊急の治療が必要です)
  • 激しい頭痛、けいれん、急な麻痺(脳転移の疑い)
  • 大量の血尿、血のかたまりで尿が出ない
  • 強いのどの渇き、意識がぼんやりする(高カルシウム血症の疑い)
  • 免疫チェックポイント阻害薬の治療中の、続く下痢・息切れ・強いだるさ(免疫関連有害事象の疑い)。次の予約を待たずに病院へ連絡してください。

治療方針を決める検査とIMDCリスク分類

検査目的・わかること
造影CT・MRI腎臓のがんの大きさ・広がり、静脈の中への進展、転移の有無を調べる
骨シンチグラフィー・頭部MRI骨転移・脳転移の有無を調べる
生検(針で組織を採る検査)手術前に薬物療法を始める場合などに、組織型を確定する
血液検査腎機能、貧血、血小板・好中球の数、カルシウム値など。リスク分類にも使う

IMDCリスク分類:治療の選び方と見通しの目安

転移のある腎細胞がんでは、次の6項目のうちいくつに当てはまるかで、「低リスク」「中リスク」「高リスク」に分ける「IMDCリスク分類」が使われます。治療の選び方と見通しの目安になります。

項目該当する条件
全身状態日常生活に制限がある(カルノフスキー・パフォーマンスステータス80%未満)
診断から治療開始まで1年未満
ヘモグロビン基準値より低い(貧血)
カルシウム基準値より高い
好中球基準値より多い
血小板基準値より多い

当てはまる項目が0個なら低リスク、1〜2個なら中リスク、3個以上なら高リスクです。リスクが高いほど進行が速い傾向がありますが、複合免疫療法は中・高リスクの方で特に効果が示されています。ご自身のリスク分類を主治医に確認してください。

出典:がん情報サービス「腎細胞がん 治療」(IMDC分類)/日本泌尿器科学会『腎癌診療ガイドライン』

腎臓がんステージ4の治療法(全体像)

腎臓がんステージ4の治療は、次の考え方で組み立てます。①遠隔転移がなく、局所で深く広がったステージ4では、手術でがんを取り切れるかを検討します。②遠隔転移がある場合は、全身に効く薬物療法が中心です。一次治療では、免疫チェックポイント阻害薬を2種類組み合わせる治療、または免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬を組み合わせる治療が第一の候補になります。③全身状態が良く、がんの大部分が腎臓にある場合などは、腎臓の摘出を組み合わせることがあります。④転移が少数に限られる場合は、転移の切除や定位放射線治療を検討します。⑤低リスクでゆっくり進む場合は、すぐに薬を始めず経過観察することもあります。⑥効果が乏しくなれば、二次治療の薬に切り替えます。

薬物療法(免疫チェックポイント阻害薬・分子標的薬)

腎臓がん(淡明細胞型)の一次治療では、次の組み合わせが標準治療として国内で使われています。どれを選ぶかは、リスク分類、全身状態、持病(自己免疫疾患など)、副作用の出方、通院の負担などを踏まえて決めます。

治療法特徴主な副作用・留意点
ニボルマブ+イピリムマブ免疫チェックポイント阻害薬2剤の併用(4回)の後、ニボルマブ単独を継続。中・高リスクの方が対象。9年以上の追跡で効果の持続が確認されている免疫関連有害事象(皮膚炎、下痢・大腸炎、肝炎、甲状腺・副腎・下垂体の異常、肺炎など)
ペムブロリズマブ+アキシチニブ免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬(飲み薬)の併用高血圧、下痢、手足症候群、肝機能障害、免疫関連有害事象
ニボルマブ+カボザンチニブ免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬(飲み薬)の併用下痢、手足症候群、高血圧、肝機能障害、免疫関連有害事象
ペムブロリズマブ+レンバチニブ免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬(飲み薬)の併用。がんを小さくする効果が高い高血圧、下痢、倦怠感、蛋白尿、甲状腺機能低下、免疫関連有害事象
アベルマブ+アキシチニブ免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬の併用高血圧、下痢、免疫関連有害事象
分子標的薬単独
(スニチニブ、パゾパニブ、カボザンチニブなど)
免疫チェックポイント阻害薬を使いにくい場合や、低リスクの方の選択肢高血圧、手足症候群、下痢、甲状腺機能低下、口内炎

二次治療以降では、カボザンチニブ、アキシチニブ、ニボルマブ(分子標的薬の後)、エベロリムスなどが使われます。非淡明細胞型では、カボザンチニブやスニチニブなどが選ばれることがあります。

分子標的薬の高血圧や手足症候群、下痢は、血圧の薬や保湿・薬の減量で管理しながら続けることができます。副作用に応じた減量・休薬は「治療の失敗」ではありません。免疫関連有害事象は治療終了後に現れることもあるため、いつもと違う症状は早めに医療チームへ伝えてください。

出典:がん情報サービス「腎細胞がん 治療」/日本泌尿器科学会『腎癌診療ガイドライン』/各薬剤の添付文書

薬物療法を提案されたときに確認したいこと

  • 私のリスク分類と組織型は
  • なぜこの組み合わせが第一候補なのですか
  • 点滴と飲み薬のスケジュール、通院の頻度は
  • 特に注意すべき副作用と、出たときの連絡先は
  • 効果はいつ、どの検査で判断しますか
  • 腎臓の摘出や転移の切除を組み合わせる可能性はありますか

手術・転移巣の切除・放射線治療・経過観察

腎臓がんは、薬物療法に加えて「局所の治療」を組み合わせることで、より長くがんを抑えられる場合があるがんです。

【腎臓の摘出(腎摘除術)】遠隔転移がある場合でも、全身状態が良く、がんの大部分が腎臓にある場合などには、腎臓の摘出が検討されます。薬物療法でがんが縮小した後に摘出する方法もあります。一方、全身状態が良くない場合や転移の広がりが大きい場合は、手術を行わず薬物療法を優先します。

【転移巣の切除】肺などへの転移が少数に限られる場合、転移をすべて手術で取り除くことで長期生存が得られることがあります。転移をすべて切除できた方では、術後にペムブロリズマブを一定期間投与する治療(術後補助療法)が検討されることもあります。

【放射線治療】腎臓がんは従来、放射線が効きにくいとされてきましたが、ピンポイントで高線量をあてる定位放射線治療は、少数の転移の制御に用いられます。骨転移の痛みや、脳転移に対するガンマナイフなどの定位照射も重要な治療です。

【経過観察】低リスクで転移が小さく、ゆっくり進んでいる場合には、すぐに薬物療法を始めず、定期的な画像検査で経過を見る方法(積極的経過観察)が選ばれることがあります。薬の副作用のない期間を持てる利点があり、進行が見られた時点で治療を始めます。

出典:がん情報サービス「腎細胞がん 治療」/日本泌尿器科学会『腎癌診療ガイドライン』

治療の効果はどのように判断する?

治療の効果は、2〜3か月ごとのCTなどの画像検査で、がんが消えた「完全奏効」、一定以上小さくなった「部分奏効」、大きな変化がない「安定」、大きくなった・新しい病変が出た「進行」に分けて評価します。腎臓がんには、治療効果の判定に使える確かな腫瘍マーカーはないため、画像検査と症状が中心になります。免疫チェックポイント阻害薬では、治療の初期に画像上がんが一時的に大きく見えることがあるため、1回の画像だけで治療を変更しないこともあります。がんが小さくならなくても、安定した状態を長く保つことは、それ自体が治療の成果です。

骨転移・脳転移への対処

【骨転移】骨転移の痛みには、鎮痛薬に加えて放射線治療が効果的です。骨折や脊髄の圧迫を防ぐため、骨を守る薬(ゾレドロン酸、デノスマブ)が使われることがあります。これらの薬では、腎機能や顎の骨の状態(顎骨壊死)に注意が必要なため、治療前に歯科の診察を受けておくことが勧められます。背骨の転移で手足のしびれや麻痺が出た場合は、緊急の放射線治療や手術が必要です。

【脳転移】脳転移には、ガンマナイフなどの定位放射線治療や手術が行われます。定位放射線治療は、少数の脳転移を短時間でピンポイントに治療できます。頭痛、吐き気、手足の麻痺、けいれんなどの症状があれば、すぐに受診してください。

【痛み・つらさ】痛みには医療用麻薬を含む鎮痛薬を段階的に使います。適切に使う医療用麻薬が寿命を縮めたり「中毒」になったりすることはありません。痛みを我慢すると体力と食欲を奪い、治療の継続を妨げます。

出典:がん情報サービス「骨転移」「脳転移」/日本臨床腫瘍学会『骨転移診療ガイドライン』

緩和ケアは診断時から受けられる

緩和ケアは「最期の医療」ではなく、がんと診断されたときから、がんへの治療と並行して受けられるケアです。痛み・だるさ・食欲不振などの身体症状、不安や気持ちの落ち込み、ご家族の悩み、費用や仕事の相談までを多職種チームが支えます。通院中の病院のほか、緩和ケア病棟や在宅でも受けられます。全国のがん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター」は、その病院にかかっていなくても無料で相談できます。

出典:がん情報サービス「緩和ケア」「がん相談支援センター」

腎臓がんの最新治療と臨床試験

腎臓がんでは、HIF-2α(がん細胞が低酸素に適応する仕組み)を狙う新しいタイプの飲み薬(ベルズチファン。海外では腎細胞がんに承認)、免疫チェックポイント阻害薬の新しい組み合わせ、3剤併用療法などの開発が進んでいます。気になる治療を見つけたときは、「国内で承認されているか」「保険が使えるか」「臨床試験として受けられるか」を主治医に確認してください。臨床試験は、がん情報サービスの「がんの臨床試験を探す」や、国の臨床研究データベース(jRCT)で探すことができます。

出典:がん情報サービス「がんの臨床試験を探す」/臨床研究等提出・公開システム(jRCT)

標準治療の効果が乏しくなった場合の選択肢

「もう治療がない」と言われてしまうことがあります。しかし、その言葉の意味は多くの場合「保険診療の標準治療の選択肢が残り少ない」ということであり、確認・検討できることはまだ残されています。

①未使用の標準治療の確認:腎臓がんは使える薬の種類が多いがんです。カボザンチニブ、アキシチニブ、ニボルマブ、エベロリムスなど、まだ使っていない薬がないかを確認します。

②局所治療の追加:進行している転移が一部だけの場合は、その転移の切除や定位放射線治療で、薬物療法を続けながら病気を抑えられることがあります。

③治験・臨床試験:新しい薬の治験が行われています。参加には条件がありますが、開発中の治療を受けられる可能性があります。

④免疫細胞療法などの自由診療:ご自身の免疫細胞を活性化して体内に戻す治療で、標準治療との併用や、標準治療の継続が難しい場合の選択肢として検討されることがあります。公的保険適用外(全額自己負担)であり、大規模臨床試験による効果の証明は確立していないため、内容・費用・期待できることと限界を十分確認したうえで選択することが重要です。

⑤セカンドオピニオン:腎臓の摘出や転移の切除、定位放射線治療の適応は施設によって判断が分かれることがあります。泌尿器科腫瘍の診療実績が豊富な施設の意見を聞くことは、納得して治療を進めるための正当な手段です。

当院の腎臓がんステージ4に対する治療【高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法】

日比谷内幸町クリニックは、がん免疫療法を専門とするクリニックとして、腎臓がんステージ4の患者様に「高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法」を提供しています。患者様ご自身の血液から免疫細胞(NK細胞など)を取り出し、約2週間かけて数百倍〜数千倍に増殖・活性化させ、点滴で体内へ戻す治療法です。

【特徴1:標準治療と併用できます】分子標的薬などの標準治療と併用が可能です。主治医の病院での標準治療を続けながら、当院が免疫細胞療法を担当する連携体制を取るため、転院は不要です。免疫チェックポイント阻害薬による治療中の方は、主治医と治療内容を共有したうえで、併用の時期や方法を個別に判断します。

【特徴2:副作用が少なく、QOLを保ちやすい治療です】ご自身の細胞を用いるため、抗がん剤のような強い副作用は報告されていません(一時的な発熱・倦怠感等が生じる場合があります)。採血と点滴のみの通院治療です。

【特徴3:標準治療が困難になった場合でも検討できます】「これ以上の治療は難しい」と言われた場合でも、採血が可能で全身状態が許す場合には治療を検討できます。

【治療の流れ】①専門医師による無料相談 → ②診察・採血 → ③約2週間の培養 → ④点滴投与 → ⑤経過観察・効果判定。

【費用・リスクについて】本治療は公的医療保険が適用されない自由診療です(費用は治療内容・回数により異なります。詳しくは治療費用のページをご覧ください)。副作用としてまれに発熱・倦怠感等が生じることがあります。効果には個人差があり、効果を保証するものではありません。

診断されたら:主治医に確認したいこと・ご家族ができること

【主治医に確認したいこと】

  • ステージ4の根拠(局所の進行か、遠隔転移か)と転移の場所
  • 組織型(淡明細胞型か)と、IMDCリスク分類
  • 提案された薬物療法の目的と、想定される効果・副作用
  • 腎臓の摘出、転移の切除、定位放射線治療を組み合わせる可能性は
  • すぐに治療を始める必要があるか、経過観察の選択肢はあるか
  • 効果が乏しくなった場合の次の選択肢は
  • 費用の目安と使える制度は

【ご家族ができること】①診察に同席してメモを取る、②手足のしびれ・麻痺、激しい頭痛など急を要する変化に気づいたらすぐ病院へ連絡できるよう、連絡先を共有する、③分子標的薬の副作用(手足の痛み、血圧、下痢)の記録を一緒につける、④長く続く治療の通院や生活を支える、⑤ご家族自身も相談支援の対象であることを忘れない。

治療と生活:片方の腎臓での生活・仕事・医療費

【片方の腎臓での生活】腎臓を1つ摘出しても、残った腎臓が働きを補うため、多くの方は普段どおりの生活を送れます。腎臓の働きを守るため、定期的な腎機能の検査、血圧の管理、一部の解熱鎮痛薬や造影剤の使い方への注意が大切です。塩分を控えめにし、水分を適度にとりましょう。

【副作用との付き合い方】分子標的薬は毎日飲む薬のため、血圧・体重・便の回数・手足の状態を簡単に記録しておくと、副作用の早期発見と薬の調整に役立ちます。

【仕事】薬物療法の多くは外来で受けられ、長期間続けることが多いため、治療と仕事の両立の工夫が大切です。がん相談支援センターで両立支援の相談ができます。

【医療費】保険診療には高額療養費制度が適用され、1か月の自己負担には上限があります。免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬は高額で長期間続くため、限度額適用認定証(マイナ保険証の利用で不要な場合あり)、医療費控除、傷病手当金、障害年金などの制度を早めに確認しましょう。

出典:がん情報サービス「がんとお金」「がんと仕事」

腎臓がんステージ4に関するよくある質問(FAQ)

腎臓がんステージ4は末期がんと同じですか?

いいえ、同じではありません。末期がんとは「治癒を目指した治療に反応せず、治癒困難と医師が判断した状態」を指す言葉で、病期とは別の概念です。腎臓がんステージ4では、複合免疫療法、分子標的薬、腎臓の摘出、転移の切除、放射線治療など、多くの治療が行われ、その効果が期待できます。

腎臓がんステージ4の生存率はどのくらいですか?

国立がん研究センターの院内がん登録によると、腎がんステージ4の5年生存率(ネット・サバイバル)は18.7%(2014〜2015年診断例)、10年生存率は8.4%(2012年診断例)です。これは複合免疫療法が標準になる前のデータで、現在の治療の効果は反映されていません。

ステージ4のがんで助かる確率はどのくらいですか?

がんの種類によって大きく異なります。腎臓がんステージ4では約5人に1人が5年後も生存しており、複合免疫療法の臨床試験では全生存期間の中央値が4年前後に達しています。画像上がんが消える完全奏効に至る方も1〜2割程度報告されています。ご自身の見通しは、リスク分類や転移の状況を踏まえて主治医に確認してください。

腎臓がんステージ4の余命はどのくらいですか?

一律には決まりません。ニボルマブ+イピリムマブの臨床試験では、全生存期間の中央値が52.7か月(約4年4か月)で、9年以上の追跡でも効果が続いている方がいます。IMDCリスク分類、転移の数と場所、組織型、全身状態、治療への反応によって大きく異なります。

腎臓癌ステージ4の治療法は?

遠隔転移がある場合は薬物療法が中心で、一次治療では免疫チェックポイント阻害薬を2種類組み合わせる治療(ニボルマブ+イピリムマブ)や、免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬の組み合わせ(ペムブロリズマブ+アキシチニブなど)が第一の候補です。条件によって腎臓の摘出、転移の切除、定位放射線治療を組み合わせます。

「腎臓病ステージ4」と「腎臓がんステージ4」は同じですか?

いいえ、別のものです。慢性腎臓病(CKD)のステージ4は、腎臓の働き(ろ過する力)が高度に低下した状態を指し、食事療法や薬で進行を遅らせる治療を行います。腎臓がんのステージ4は、腎臓にできたがんが腎臓を包む膜を越えて広がった、または離れた臓器に転移した状態を指します。

腎臓がんの進行スピードはどのくらいですか?

人によって大きく異なります。何年もかけてゆっくり大きくなる転移もあれば、比較的速く進むタイプもあります。ゆっくり進む低リスクの場合は、すぐに薬を始めず定期的な画像検査で経過を見ることもあります。手術から10年以上たって転移が見つかることもあるがんです。

腎臓がんステージ4は完治しますか?

完治は容易ではありませんが、複合免疫療法で画像上がんが見えなくなる完全奏効に至る方や、治療を中止した後も長期間がんが見えない状態が続く方がいます。転移が少数に限られる場合は、転移をすべて切除することで長期生存が得られることもあります。

転移があっても腎臓を取る手術はしますか?

全身状態が良く、がんの大部分が腎臓にある場合などには、転移があっても腎臓の摘出が検討されます。薬物療法でがんが縮小した後に摘出する方法もあります。一方、全身状態が良くない場合や転移の広がりが大きい場合は、手術を行わず薬物療法を優先します。

肺に転移があります。手術で取れますか?

肺の転移が少数に限られ、ほかに転移がない場合などには、転移を手術で取り除くことが検討されます。腎臓がんでは、転移をすべて切除できた場合に長期生存が得られることがあり、術後にペムブロリズマブを一定期間投与する治療が検討されることもあります。ピンポイントで照射する定位放射線治療も選択肢です。

IMDCリスク分類とは何ですか?

転移のある腎細胞がんの見通しと治療選択の目安となる分類です。全身状態、診断から治療開始までの期間、ヘモグロビン、カルシウム、好中球、血小板の6項目のうち、当てはまる数が0個なら低リスク、1〜2個なら中リスク、3個以上なら高リスクに分けます。

分子標的薬の副作用にはどんなものがありますか?

高血圧、手足症候群(手のひらや足の裏の痛み・赤み)、下痢、口内炎、甲状腺機能の低下、蛋白尿、肝機能障害などがあります。血圧の薬や保湿、薬の減量・休薬で管理しながら続けることができます。つらい症状は我慢せず、医療チームに伝えてください。

片方の腎臓を取っても普通に生活できますか?

はい、残った腎臓が働きを補うため、多くの方は普段どおりの生活を送れます。ただし、腎臓の働きを守るために、定期的な腎機能の検査、血圧の管理、痛み止め(一部の解熱鎮痛薬)や造影剤の使い方への注意が大切です。薬物療法の薬の量も腎機能に合わせて調整されます。

骨に転移しました。どうなりますか?

骨転移の痛みには放射線治療が効果的で、骨折を防ぐための骨を守る薬も使われます。背骨の転移で手足のしびれや力が入らない、尿や便が出にくいといった症状が出た場合は、脊髄の圧迫の可能性があり緊急の治療が必要です。すぐに病院へ連絡してください。

標準治療が効かなくなったらどうすればいいですか?

二次治療以降の薬(カボザンチニブ、アキシチニブ、ニボルマブ、エベロリムスなど)の確認、転移の切除や放射線治療の追加、治験・臨床試験への参加、免疫細胞療法などの自由診療といった選択肢を整理します。「もう治療がない」と言われた場合も、確認・検討できることは残っています。

免疫細胞療法は標準治療と併用できますか?

当院の高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法は、分子標的薬などの標準治療と併用が可能です。免疫チェックポイント阻害薬による治療中の方は、主治医と治療内容を共有したうえで、併用の時期や方法を個別に判断します。本治療は公的保険適用外の自由診療です。詳しくは無料相談でご説明します。

まとめ:腎臓がんステージ4は、治療の進歩が大きいがんです

腎臓がんステージ4は進行した状態ですが、腎臓がんは免疫チェックポイント阻害薬がよく効くがんとして、この10年で治療が大きく進歩しました。複合免疫療法では全生存期間の中央値が4年前後に達し、9年以上の追跡でも効果が続く方や、がんが画像上見えなくなる方がいます。腎臓の摘出や転移の切除、定位放射線治療など、腎臓がんならではの選択肢もあります。

大切なのは、①ステージ4の根拠とIMDCリスク分類を知ること、②薬物療法と局所治療の組み合わせを主治医と検討すること、③副作用を記録し、我慢せず伝えること、④治療の選択肢(二次治療・治験・免疫細胞療法・セカンドオピニオン)を早めに整理しておくことです。

日比谷内幸町クリニックでは、腎臓がんステージ4の患者様とご家族を対象に、専門医師による無料相談を実施しています。「標準治療と併用できる治療を探している」「これ以上の治療は難しいと言われた」という方は、お一人で悩まず、お気軽にご相談ください。(受付時間:平日9:00〜17:00/お電話・WEBフォームで受付)

参考文献

監修

日比谷内幸町クリニック 院長 禹 雅祥(う まさよし)/日本外科学会員 医師紹介ページ

本ページの情報は一般的な医学情報であり、個々の診断・治療方針に代わるものではありません。統計値・薬剤情報は公開日時点の公開情報に基づきます。治療効果には個人差があります。ご自身の病状については主治医にご確認ください。

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