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肝臓がんステージ4とは?生存率・余命・症状・最新の治療法をわかりやすく解説

肝臓がんステージ4の患者様とご家族の方へ

肝臓がんステージ4とは、肝臓にできたがんが、リンパ節や肺・骨など肝臓の外へ広がっている状態を指します。「ステージ4」と告げられ、余命や生存率を調べて厳しい数字に驚いた方も多いと思います。

ただ、肝臓がんはこの数年で治療が大きく変わったがんの一つです。2020年以降、免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた「複合免疫療法」が相次いで登場し、臨床試験では5年以上生存する方が約2割という報告も出ています。また肝臓がんでは、がんの広がりだけでなく「肝臓にどれだけ余力が残っているか」が治療を大きく左右します。この2つ目の軸を知ることが、ご自身の状況を正しく理解する第一歩になります。

がん免疫療法専門クリニックである日比谷内幸町クリニックが、肝臓がんステージ4の定義、生存率・余命の正しい読み方、症状と対処、最新の治療の選択肢、そして標準治療の効果が乏しくなった場合に検討できることまでをわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 肝臓がんステージ4がどのような状態か(4Aと4Bの違い、肝転移との違い)
  • 治療を左右する「肝予備能(Child-Pugh分類)」とは
  • 生存率・余命の数字と、その正しい読み方
  • 複合免疫療法・分子標的薬など薬物療法の選択肢と効果の判定方法
  • 腹水・黄疸・肝性脳症など肝臓の機能低下への対処
  • 標準治療の効果が乏しくなったときの選択肢
  • 医療費助成制度とご家族ができること

要点

  1. 肝臓がんステージ4は「肝臓の外(リンパ節・肺・骨など)にがんが広がった状態」で、末期がんとは別の概念です。
  2. 治療は「がんの広がり」と「肝臓の余力」の2軸で決まり、肝機能が保たれていれば複合免疫療法などの薬物療法が中心になります。
  3. 5年生存率は4.4%(2014〜2015年診断例)ですが、新しい複合免疫療法の効果は反映されていません。
日比谷内幸町クリニック 院長 禹 雅祥

この記事の監修

日比谷内幸町クリニック 院長 禹 雅祥(う まさよし)

日本外科学会員。1987年群馬大学医学部卒業。東京医科歯科大学医学部附属病院第二外科、東京都立墨東病院 胸部心臓血管外科などで外科医としてがん治療に従事し、2005年より日比谷内幸町クリニック院長。3大治療と高度活性化NK細胞療法を併用した総合的治療を行っています。ドクター紹介はこちら

肝臓がんステージ4とは【がんが肝臓の外へ広がった状態】

肝臓がんステージ4(Ⅳ期)とは、肝臓にできたがんが、肝臓の周囲のリンパ節や、肺・骨・副腎・腹膜など離れた臓器へ広がっている状態です。リンパ節への転移がある場合を「ステージ4A」、離れた臓器への遠隔転移がある場合を「ステージ4B」と分けます(日本の分類では、肝臓内のがんが高度に進行した状態も4Aに含まれます)。

肝臓がんは2023年に約3万3千人が新たに診断され、2024年には約2万2千人が亡くなっています。男性に多く、男性は女性の約2倍です。肝臓にできるがん(原発性肝がん)の約9割は肝臓の細胞から発生する「肝細胞がん」で、一般に「肝臓がん」「肝がん」という場合は肝細胞がんを指します。この記事でも肝細胞がんについて解説します。

肝細胞がんの多くは、B型・C型肝炎ウイルスの持続感染、アルコール性肝障害、脂肪肝(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患:MASLD)などによる慢性的な肝臓の炎症や肝硬変を土台に発生します。近年はウイルス性の肝炎によらない肝臓がんの割合が増えています。

出典:国立がん研究センター がん統計(肝臓)/がん情報サービス「肝臓がん(肝細胞がん)」

まず確認:「肝臓がん」と「肝転移」は別の病気です

「肝臓がん ステージ4」と調べている方の中には、大腸がんや膵臓がん、胃がん、乳がんなどが肝臓に転移した状態(転移性肝がん・肝転移)を指している方もいらっしゃるかもしれません。肝転移は、元のがん(原発巣)の性質を持ったがんが肝臓に移ったもので、治療は元のがんの種類に合わせて行います。たとえば大腸がんの肝転移は「大腸がんステージ4」として扱い、肝細胞がんとは使う薬も見通しも異なります。

また、肝臓の中の胆管から発生する「肝内胆管がん」は、同じく肝臓にできるがんですが、ステージの決め方も治療も胆道がんに準じます。病理診断書や紹介状に書かれた病名が「肝細胞がん」「肝内胆管がん」「転移性肝がん」のどれにあたるのかを、まず主治医に確認してください。

ステージ4Aと4Bの違い(日本の分類と国際分類)

肝細胞がんのステージには、日本肝癌研究会の「原発性肝癌取扱い規約」による分類と、国際的なUICCのTNM分類の2つがあり、病院や資料によってどちらが使われているかが異なります。どちらも、がんの状態(T)、リンパ節転移(N)、遠隔転移(M)の組み合わせで決めますが、ステージ4Aの範囲が異なる点に注意が必要です。

日本の分類では、T因子を「①がんが1個」「②大きさが2cm以下」「③血管(門脈・肝静脈・胆管)への広がりがない」の3条件をいくつ満たすかで評価し、1つも満たさないものがT4です。

状態日本の分類
(取扱い規約)
UICC分類
(第8版)
肝臓内のがんが高度に進行(日本:T4/UICC:主要血管への進展など)、リンパ節転移・遠隔転移なしステージ4Aステージ3B
リンパ節転移あり、遠隔転移なしステージ4Aステージ4A
肺・骨・副腎・腹膜などへの遠隔転移ありステージ4Bステージ4B

つまり「リンパ節転移がある=4A」「遠隔転移がある=4B」は両分類で共通ですが、肝臓内だけで高度に進行した状態は、日本の分類では4A、UICC分類では3Bとなります。ご自身のステージがどちらの分類によるものかを確認すると、情報を正しく読み取れます。

ステージ治療の考え方
ステージ4A肝臓内の病変・血管への広がり・リンパ節をあわせて評価し、すべての病変を治療の対象にできるかを検討する。薬物療法を軸に、カテーテル治療・放射線治療などの局所治療を組み合わせることもある
ステージ4B全身に効く薬物療法が中心。症状のある転移(骨・脳など)には放射線治療などを加える

出典:日本肝癌研究会『原発性肝癌取扱い規約』/がん情報サービス「UICC TNM分類」

治療を左右するもう一つの軸「肝予備能(Child-Pugh分類)」

肝臓がんの治療で、ステージと同じくらい重要なのが「肝予備能」、つまり肝臓にどれだけ働く力が残っているかです。どんな治療も肝臓にある程度の負担をかけるため、肝臓の余力が少ないと、がんに効く治療であっても肝不全を招くおそれがあります。肝予備能は、血液検査(ビリルビン・アルブミン・プロトロンビン時間)と、腹水・肝性脳症の有無を点数化した「Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類」で評価するのが一般的です。

Child-Pugh分類肝臓の状態治療との関係
A(5〜6点)肝臓の働きが比較的保たれている複合免疫療法・分子標的薬などの標準的な薬物療法を検討しやすい
B(7〜9点)肝臓の働きが中等度に低下している治療の利益と肝機能悪化のリスクを慎重に比べて判断する。腹水などの合併症を整えてから治療を始めることもある
C(10〜15点)肝臓の働きが大きく低下している積極的ながん治療は難しく、症状の緩和と肝臓を守る治療が中心になる

つまり、同じ「ステージ4」でも、Child-Pugh Aの方とCの方では治療の選択肢も見通しも大きく異なります。「ステージ4と言われた」ときは、あわせて「肝予備能はどの程度か」を主治医に確認してください。最近はアルブミンとビリルビンから計算する「ALBIグレード」という、より細かい指標も使われています。

出典:がん情報サービス「肝臓がん(肝細胞がん) 治療」/日本肝臓学会『肝細胞癌診療ガイドライン2025年版』

肝臓がんが転移しやすい部位

肝細胞がんの遠隔転移で最も多いのは肺で、次いでリンパ節、骨、副腎、腹膜などにみられます。また肝臓がんに特徴的なのが、がんが肝臓内の太い血管(門脈や肝静脈)の中に入り込んで塊をつくる「脈管侵襲(腫瘍栓)」です。脈管侵襲はステージを決めるT因子として評価され、治療方針や見通しに大きく影響します。

ステージ4は「末期がん」と同じではない

ステージ4という言葉から「末期」を連想される方は多いのですが、両者は同じ意味ではありません。末期がんとは、厚生労働省の資料では「治癒を目指した治療に反応せず、進行性かつ治癒困難又は治癒不能と考えられる状態と医師が総合的に判断した場合」とされており、病期ではなく「有効な治療手段がなくなった状態」を指す言葉です。

肝臓がんステージ4では、肝予備能が保たれていれば複合免疫療法や分子標的薬、カテーテル治療、放射線治療など、行える治療が数多く残されています。治療によって病気の進行を抑え、仕事や日常生活を続けながら過ごしている方は実際にいらっしゃいます。

肝臓がんステージ4の生存率【5年4.4%】と数字の正しい読み方

国立がん研究センターの院内がん登録によると、肝細胞がんステージ4の5年生存率(ネット・サバイバル)は4.4%、10年生存率は1.9%です。厳しい数字であることは事実であり、この記事では数字を美化してお伝えすることはしません。ただし、この数字を「自分の運命」と受け取る前に、数字の意味と限界を知っておいてください。

ステージ別の5年・10年生存率一覧

診断時のステージ5年生存率
(2014〜2015年診断例)
10年生存率
(2012年診断例)
ステージ163.0%36.3%
ステージ245.2%21.6%
ステージ316.0%7.1%
ステージ44.4%1.9%

5年と10年の数字は、診断年も対象の患者さんも異なる別々の集計です。「4.4%だった人たちが10年後に1.9%に減った」という意味ではありません。なお、地域がん登録をもとにした別の集計(2012〜2015年診断)では、診断時に遠隔転移があった肝臓がんの5年生存率は3.1%と報告されています。

出典:国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計(肝細胞がん・ネット・サバイバル)/国立がん研究センター プレスリリース(2025年11月19日)

ネット・サバイバル(純生存率)とは

ネット・サバイバルは、がん以外の病気や事故による死亡の影響を統計的に取り除き、「そのがんだけが死因になると仮定した場合」の生存率を推計した数字です。肝臓がんは高齢の方や、肝硬変・心臓病などほかの病気を抱えた方が多いため、がんそのものの影響を比べる目的でこの指標が使われます。実際に何%の方が生存していたかを数えた「実測生存率」とは異なる、統計上の推計値です。

肝臓がんの生存率が低めになりやすい理由

肝臓がんの多くは、慢性肝炎や肝硬変によって肝臓全体ががんのできやすい状態になっているところに発生します。そのため、治療でがんを抑えても肝臓の別の場所に新たながんが繰り返しできやすく(多中心性発がん)、さらに肝硬変そのものによる肝不全や静脈瘤からの出血も経過に影響します。肝臓がんの見通しを考えるときは、「がん」と「肝臓の病気」の両方を見る必要があるのはこのためです。

この数字だけで判断してはいけない4つの理由

第一に、統計は古い治療時代のデータです。上記は2012〜2015年に診断された方の数字で、当時の薬物療法はソラフェニブという分子標的薬が中心でした。アテゾリズマブ+ベバシズマブ(2020年承認)をはじめとする複合免疫療法が登場した現在の治療環境は、当時とは大きく異なります。

第二に、統計には治療を受けられなかった方も含まれています。肝臓がんでは、肝硬変が進んで肝予備能が低下しているために、がんへの治療を行えなかった方も統計に含まれます。肝臓の働きが保たれ、薬物療法を受けられる方の経過は、全体の平均とは異なります。

第三に、ステージ4Aと4Bを分けた全国規模の生存率は公表されていません。リンパ節転移のみの4Aと、遠隔転移のある4Bでは経過が異なる可能性がありますが、上記の数字は両者をまとめた値です。また肝臓がんでは、同じステージでもChild-Pugh Aの方とCの方で見通しがまったく違います。

第四に、生存率は「集団の平均像」であり、個人の余命を予言する数字ではありません。転移の広がり・肝予備能・治療への反応によって経過は大きく異なり、統計を大きく上回って生存されている方も存在します。数字は「傾向を知る資料」として使い、ご自身の見通しは主治医に確認してください。

肝臓がんステージ4の余命

医師から伝えられる「余命○か月」は、同じような病状の患者さんの生存期間中央値に基づく統計的な目安です。中央値とは、患者さんを生存期間の短い順に並べたときにちょうど真ん中にあたる値で、全員の平均ではありません。「その期間で必ず」という宣告ではなく、半数の方はそれより長く生存します。参考として、切除不能な肝細胞がんを対象とした代表的な臨床試験のデータを紹介します。

臨床試験で報告された生存期間の目安

治療内容臨床試験全生存期間中央値
ニボルマブ+イピリムマブ(一次治療・2025年国内承認)CheckMate 9DW23.7か月(レンバチニブまたはソラフェニブ20.6か月)
アテゾリズマブ+ベバシズマブ(一次治療)IMbrave15019.2か月(ソラフェニブ13.4か月)
デュルバルマブ+トレメリムマブ(一次治療)HIMALAYA16.4か月(ソラフェニブ13.8か月)
5年生存率19.6%(ソラフェニブ9.4%)
レンバチニブ(一次治療)REFLECT13.6か月(ソラフェニブ12.3か月)
ソラフェニブ(一次治療)SHARP10.7か月(プラセボ7.9か月)
レゴラフェニブ(二次治療)RESORCE10.6か月(プラセボ7.8か月)
カボザンチニブ(二次治療以降)CELESTIAL10.2か月(プラセボ8.0か月)
ラムシルマブ(二次治療・AFP 400ng/mL以上)REACH-28.5か月(プラセボ7.3か月)

出典:各試験の主論文(Yau T, et al. Lancet 2025/Cheng AL, et al. J Hepatol 2022/Abou-Alfa GK, et al. NEJM Evid 2022 ほか)

臨床試験の数字を見るときの注意

これらの試験は「切除不能な肝細胞がん」を対象としており、ステージ4の方だけを集めた試験ではありません。肝臓内のがんの数や血管への広がりのために切除できない方も含まれています。また、参加者の多くは肝予備能が保たれ(Child-Pugh A)、日常生活を自立して送れる方でした。強い黄疸、コントロールしにくい腹水、繰り返す肝性脳症がある方に、同じ数字をそのまま当てはめることはできません。さらに、試験ごとに患者背景や比較した治療が異なるため、数字の大小だけで「どの薬が一番よいか」を判断することもできません。

5年以上生存する方が約2割という報告も

デュルバルマブ+トレメリムマブの臨床試験(HIMALAYA試験)では、5年後も生存していた方が約5人に1人(19.6%)と報告されました。さらに、治療でがんが縮小・安定した方に限ると、5年生存率はより高い結果でした。かつての分子標的薬の時代には考えにくかった数字であり、複合免疫療法がよく効いた方では、長期にわたって病気を抑えられる可能性が示されています。

出典:HIMALAYA試験 5年全生存期間の追跡解析(2025年報告)

余命を左右する主な要素

余命を左右する主な要素は、①肝予備能(Child-Pugh分類・ALBIグレード)、②転移の広がりと血管への広がり(脈管侵襲)の有無、③全身状態(パフォーマンスステータス:日常生活をどの程度自分で送れるか)と栄養状態、④治療への反応、⑤腫瘍マーカー(AFPなど)の値、⑥背景の肝臓病(肝炎ウイルス・飲酒)のコントロール、⑦一次治療の後に次の治療へ進める状態を保てるかです。特に①⑥⑦は、ご本人と医療チームの取り組みで改善・維持できる部分があります。数字に圧倒されず、「いま整えられるもの」を一つずつ整えていくことが大切です。

医師から余命を伝えられたときに確認したいこと

  • その期間は何のデータ(どの治療・どんな患者さん)をもとにした目安ですか
  • 治療を受けた場合と受けない場合で見通しはどう違いますか
  • 私の肝予備能と全身状態で、見通しに最も影響する要因は何ですか
  • 治療がよく効いた場合、見通しはどう変わり得ますか
  • いまのうちに準備しておくべきことはありますか。数字だけを受け取るのではなく、その数字の前提を確認することで、今後の治療や生活の計画を立てやすくなります。

肝臓がんステージ4は完治するのか

正直にお伝えすると、肝臓がんステージ4、特に遠隔転移のあるステージ4Bを完治(治癒)させることは、現在の医療では一般に困難です。治療の基本目標は、がんの進行をできるだけ長く抑え、肝臓の働きと生活の質を保つことに置かれます。一方、リンパ節転移にとどまるステージ4Aなどでは、すべての病変を治療の対象にできるかを検討し、治療の組み合わせで長期の病勢コントロールが得られることがあります。

完全奏効と完治は同じではない

複合免疫療法では、一部の方で画像上がんが見えなくなる「完全奏効(CR)」が報告されています。ただし完全奏効は「画像で確認できる範囲でがんが消えた状態」であり、目に見えないがん細胞が残っている可能性があるため、「完治」とは同じ意味ではありません。それでも完全奏効は長期生存につながる重要な状態であり、また完全奏効に至らなくても、がんが縮小・安定した状態を長く保つことは、それ自体が大きな治療の成果です。

薬物療法の後に根治を目指す「コンバージョン治療」

近年注目されているのが、複合免疫療法などで腫瘍が十分に縮小・制御された後に、手術・焼灼療法・カテーテル治療を加えて、がんが画像上なくなった状態を目指す「コンバージョン治療」です。日本の施設を中心に、この方法で薬物療法を休止できる状態に至った例が報告されています。対象となるのは一部の方ですが、「最初は手術できないと言われた」方でも、治療への反応が良い場合には主治医に局所治療の再評価を相談する価値があります。

「完治は一般に困難」という現実と、「統計を大きく上回る経過をたどる人が確かに存在する」という現実は、両方とも本当のことです。可能性を広げるためにできることは、①肝臓の働きを守りながら薬物療法を続けること、②治療の効果が出ているときに次の一手(局所治療の追加を含む)を主治医と相談すること、③肝臓がんの治療経験が豊富な施設の意見も聞くことです。

肝臓がんステージ4の主な症状

肝臓がんステージ4の症状は、「がんそのものによる症状」「肝臓の働きが落ちることによる症状」「転移先で起こる症状」の3つに分けて考えるとわかりやすくなります。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、ステージ4でも自覚症状がほとんどない方もいます。症状の多くは対処法がありますので、我慢せず主治医に伝えてください。

がんそのものによる症状

右上腹部やみぞおちの痛み・張り、圧迫感、しこり、食欲不振、体重減少、だるさ、発熱などがみられます。がんが大きくなると肝臓の表面が引き伸ばされて痛むことがあります。まれに、がんが破裂して腹腔内に出血し、急激な腹痛や血圧低下を起こすことがあります。

肝臓の働きが落ちることによる症状(肝不全の症状)

肝臓がんの多くは肝硬変を伴っているため、がんの進行や治療の影響で肝臓の働きが低下すると、次のような症状が現れます。

  • 腹水:お腹に水がたまり、張る・苦しい・食べられない
  • 黄疸:皮膚や白目が黄色くなる、尿が濃くなる、かゆみ
  • むくみ:足のむくみ
  • 肝性脳症:アンモニアなどの毒素が脳に影響し、昼夜逆転・物忘れ・ぼんやりする・性格の変化・手の震えなどが起こる
  • 食道・胃静脈瘤:肝硬変で血液の流れが滞り、食道や胃の静脈がこぶ状にふくらむ。破裂すると吐血・下血を起こす。これらは肝臓がん特有の、しかも対処できる症状です(5-13で対処法を解説します)。

転移部位別の症状

転移部位主な症状対処の方向性
肺(最多)咳、息切れ、胸の痛み(無症状のことも多い)薬物療法+症状緩和
骨持続する痛み、病的骨折、神経の圧迫によるしびれ・麻痺放射線治療・骨修飾薬・鎮痛治療
リンパ節多くは無症状。大きくなると周囲の臓器を圧迫薬物療法、必要に応じ放射線治療
副腎・腹膜背部の痛み、腹水、お腹の張り薬物療法+症状緩和
脳(まれ)頭痛、吐き気、手足の麻痺、けいれん放射線治療(定位照射など)・手術を検討

すぐ受診すべき危険なサイン

次の症状は、次回の予約を待たずに病院へ連絡してください。

  • 血を吐いた、黒いタール状の便が出た(静脈瘤破裂の疑い。命に関わります)
  • 突然の激しい腹痛、冷や汗、ふらつき(腫瘍破裂の疑い)
  • 話のつじつまが合わない、昼夜逆転、強い眠気(肝性脳症の疑い)
  • 皮膚や白目が急に黄色くなった、発熱を伴う
  • 急にお腹が張って苦しい、尿が極端に減った
  • 治療中の38度以上の発熱
  • 免疫チェックポイント阻害薬の治療中の、続く下痢・息切れ・強いだるさ(免疫関連有害事象の疑い)。肝臓がんの合併症の多くは、早く対処するほど肝臓へのダメージを抑えられます。

治療方針を決める検査

肝臓がんステージ4の治療方針は、「がんの広がり」「肝予備能」「全身状態」の3つを調べて決めます。主な検査は次のとおりです。

検査目的・わかること
造影CT・MRI(EOB-MRI)肝臓内のがんの数・大きさ・血管への広がり(脈管侵襲)を調べる。胸部CTや骨シンチグラフィーなどで遠隔転移を確認する
腫瘍マーカー(AFP・PIVKA-Ⅱ・AFP-L3分画)診断の補助と治療効果の目安。AFPは二次治療でラムシルマブを使えるか(400ng/mL以上)の判断にも使う
肝予備能の血液検査ビリルビン・アルブミン・プロトロンビン時間などから、Child-Pugh分類・ALBIグレードを判定する
腎機能・血球数・感染症の検査薬の量の調整や、治療を安全に行えるかの確認。感染症があれば先に治療する
上部消化管内視鏡食道・胃静脈瘤の有無を調べる。ベバシズマブを含む治療の前には出血リスクを確認し、必要なら静脈瘤の治療を先に行う
肝炎ウイルス検査B型肝炎ウイルスを持っている方は、治療中の再活性化を防ぐ抗ウイルス薬が必要になる場合がある
パフォーマンスステータス(PS)日常生活をどの程度自分で送れるかを0〜4の5段階で評価。主な薬物療法はPS 0〜1の方を中心に検討される
がん遺伝子パネル検査標準治療の終了(見込み)後などに保険適用。肝細胞がんで治療に結びつく異常が見つかる割合は高くないが、MSI-Highなどが見つかれば適合する薬や臨床試験の対象になることがある

肝細胞がんは、慢性肝疾患があり、造影CTやMRIで典型的な画像所見を示す場合には、組織を採取する検査(生検)を行わずに診断されることがあります。画像が典型的でない場合や、ほかのがんとの区別が必要な場合には生検を行います。腫瘍マーカーは一度の数値で一喜一憂せず、推移と画像・症状を合わせて評価します。

出典:がん情報サービス「肝臓がん(肝細胞がん) 検査」「パフォーマンスステータス」/日本消化器病学会『肝硬変診療ガイドライン』

肝臓がんステージ4の治療の全体像

肝臓がんの治療は、肝切除・肝移植・焼灼療法・塞栓療法(カテーテル治療)・全身薬物療法・放射線治療の6つに大きく分けられ、ステージ4では「がんの広がり(4Aか4Bか、脈管侵襲の有無)」と「肝予備能(Child-Pugh分類)」の2つの軸でこれらを組み立てます。基本的な考え方は次のとおりです。

①肝予備能が保たれ(Child-Pugh A)、全身状態が良い場合は、全身に効く薬物療法が治療の中心です。一次治療では、免疫チェックポイント阻害薬を含む複合免疫療法が第一の候補になり、自己免疫疾患がある方や臓器移植後の方などでは分子標的薬を選びます。②リンパ節転移(4A)や、肝臓内のがん・血管内の腫瘍栓が生活や命に大きく影響する場合は、薬物療法に、カテーテル治療(TACE・肝動注化学療法)や放射線治療を組み合わせることがあります。③治療がよく効いた場合は、局所治療を追加して根治を目指す「コンバージョン治療」を検討します。④効果が乏しくなれば二次治療以降の薬に切り替えます。治療の順番は、次に使える選択肢を残せるよう、肝機能を守ることを意識して決めます。⑤肝予備能が中等度に低下(Child-Pugh B)している場合は、治療の利益とリスクを慎重に比べ、腹水などの合併症を整えてから治療を始めることもあります。大きく低下(Child-Pugh C)している場合は、症状を和らげる治療と肝臓を守る治療が中心になります。

どの段階でも、腹水・黄疸・肝性脳症などへの対処と、背景にある肝炎ウイルスや飲酒のコントロールを並行して行います。肝臓を守ることは、がんの治療を長く続けるための土台です。

出典:国立がん研究センター「肝がんの治療について」/がん情報サービス「肝臓がん(肝細胞がん) 治療」

薬物療法(複合免疫療法・分子標的薬)

肝臓がんの薬物療法は、この数年で最も大きく進歩した領域です。一次治療の薬は、効果だけでなく「その方が安全に続けられるか」を考えて選びます。現在の主な選択肢は次のとおりです。

一次治療の主な選択肢

治療法特徴主な副作用・留意点
アテゾリズマブ+ベバシズマブ
(点滴・3週ごと)
免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬の併用。2020年に承認され、一次治療の中心として広く使われてきた高血圧、蛋白尿、出血。治療前に静脈瘤の確認・治療が必要。免疫関連有害事象
デュルバルマブ+トレメリムマブ
(STRIDEレジメン)
トレメリムマブを初回に1回だけ併用し、以降はデュルバルマブを4週ごとに投与。血管新生阻害薬を含まないため、出血リスクのある方にも使いやすい。5年生存率19.6%の報告皮膚症状、下痢・大腸炎、肝炎、甲状腺機能異常などの免疫関連有害事象
ニボルマブ+イピリムマブ
(点滴)
2種類の免疫チェックポイント阻害薬の併用。2025年6月に国内承認。臨床試験で全生存期間中央値23.7か月免疫関連有害事象の頻度が比較的高く、専門施設での管理が重要
デュルバルマブ単独併用療法の負担を避けたい場合などの選択肢免疫関連有害事象
レンバチニブ(飲み薬)分子標的薬。免疫療法を使いにくい方(自己免疫疾患、臓器移植後など)の一次治療や、免疫療法後の治療として使われる高血圧、手足症候群、蛋白尿、倦怠感、食欲低下
ソラフェニブ(飲み薬)最初に登場した肝臓がんの分子標的薬手足症候群、下痢、高血圧

出典:日本肝臓学会『肝細胞癌診療ガイドライン2025年版』/国立がん研究センター「肝がんの治療について」/各薬剤の添付文書・適正使用ガイド(PMDA)/小野薬品工業プレスリリース(2025年6月24日)

薬を選ぶときに確認すること

治療法選択の前に特に確認すること
アテゾリズマブ+ベバシズマブ食道・胃静脈瘤や出血の危険、高血圧、蛋白尿、自己免疫疾患の有無
デュルバルマブ+トレメリムマブ自己免疫疾患の有無、免疫関連有害事象に対応できる体制
ニボルマブ+イピリムマブ免疫関連有害事象のリスク、肝機能・全身状態
デュルバルマブ単独併用療法の負担を避けたい事情があるか
レンバチニブ・ソラフェニブなど免疫療法を選びにくい理由、高血圧・手足症候群・蛋白尿など

免疫チェックポイント阻害薬の副作用(免疫関連有害事象)

免疫チェックポイント阻害薬は、免疫のブレーキを外してがんを攻撃させる薬です。従来の抗がん剤のような脱毛や強い吐き気は少ない一方、免疫が自分の臓器を攻撃してしまう「免疫関連有害事象」が起こることがあります。皮膚の発疹、下痢・大腸炎、肝炎、甲状腺や副腎などホルモンの異常、肺炎、まれに1型糖尿病などがあり、治療終了後に現れることもあります。肝臓がんの方では、薬による肝炎と、がんや肝硬変による肝機能の悪化を症状だけで見分けるのは難しいため、血液検査での確認が欠かせません。早く見つけて対処すれば多くはコントロールできますので、いつもと違う症状があれば早めに医療チームへ連絡してください。

二次治療以降の選択肢

一次治療の効果が乏しくなった場合は、一次治療で使わなかった薬に切り替えます。複合免疫療法の後には、レンバチニブやソラフェニブなどの分子標的薬が使われることが多く、その後の選択肢としてレゴラフェニブ、カボザンチニブ、ラムシルマブ(AFPが400ng/mL以上の場合)があります。治療の順番は、前の治療をやめた理由(効果が乏しくなったのか、副作用なのか)と、その時点の肝予備能をもとに決めます。なお、複合免疫療法の後にどの薬をどの順番で使うのが最もよいかについては、まだ確立していない部分があります。

また、免疫療法では、治療の初期に画像上がんが一時的に大きく見えることがあるため、1回の画像の変化だけで治療を変更せず、経過を見て判断する場合があります。副作用に応じた減量・休薬は「治療の失敗」ではありません。肝臓がんの薬物療法は、肝臓の働きを保ちながら長く続けることが成績につながります。

薬物療法を提案されたときに確認したいこと

  • なぜこの薬が私にとって第一候補なのですか(ほかの選択肢との違いは)
  • 治療の目的は延命・症状の緩和・コンバージョン治療のどれですか
  • 投与のスケジュールと、入院が必要かどうか
  • 特に注意すべき副作用と、出たときの連絡先
  • 効果はいつ、どの検査で判断しますか
  • この薬が効かなくなった場合、次に使える薬は何ですか
  • 費用の目安と使える制度は

カテーテル治療(TACE・肝動注化学療法)と放射線治療

肝臓がんには、薬を全身に流す薬物療法とは別に、肝臓のがんを狙い撃ちする治療があります。ステージ4では、肝臓内のがんや血管内の腫瘍栓が命や生活に大きく影響する場合に、薬物療法と組み合わせて検討されます。

肝動脈化学塞栓療法(TACE)

足の付け根などから細い管(カテーテル)を肝臓の動脈まで進め、がんに栄養を送る血管に抗がん剤と塞栓物質を注入して、がんを「兵糧攻め」にする治療です。肝臓内のがんを抑える効果が期待できる一方、肝臓にも負担がかかるため、肝予備能や病変の広がりを見て慎重に適応を判断します。遠隔転移のあるステージ4Bでは、肝臓内のがんの制御が予後を左右すると考えられる場合に検討されます。

一方で、TACEを繰り返しても効果が不十分な状態(TACE不応)になった場合や、肝機能が低下してきた場合に、同じ治療を漫然と続けると肝臓の余力を削ってしまい、その後の薬物療法を受けられなくなることがあります。「効果が不十分なTACEを繰り返さず、適切な時期に薬物療法へ切り替える」ことも大切な判断です。治療後には発熱・腹痛・吐き気などの「塞栓後症候群」が数日みられることがあります。

肝動注化学療法(HAIC)

肝臓の動脈にカテーテルを留置し、抗がん剤を肝臓に直接、繰り返し注入する治療です。日本で発展してきた治療法で、門脈など太い血管に腫瘍栓がある場合などに選択肢となります。治療施設によって経験に差があるため、実施施設で相談するのがよいでしょう。

放射線治療(定位放射線治療・粒子線治療)

ステージ4では、骨転移の痛みや骨折の予防、脳転移による神経症状の予防、リンパ節転移による症状、門脈内の腫瘍栓などに対して放射線治療が行われます。痛みに対する放射線治療は効果が期待でき、鎮痛薬を減らせることもあります。脳転移では、定位放射線治療(ピンポイント照射)や手術で神経の働きを守ることを目指します。

肝臓のがんそのものに対しては、ピンポイントで高線量をあてる定位放射線治療(一般に大きさ5cm以下・3個以内、Child-Pugh A〜Bが目安)や、陽子線・重粒子線による粒子線治療も選択肢になり得ます。粒子線治療は2022年4月から、長径4cm以上で手術が難しい肝細胞がんに公的医療保険が適用されています。ただしステージ4では病気全体を見て適応を判断するため、専門施設での相談が必要です。

局所治療を提案されたときは、その目的が「根治を目指す」「薬物療法の効果を補う」「症状を和らげる」のどれなのかを確認しておくと、治療の意味と期待できることを正しく理解できます。

出典:国立がん研究センター「肝がんの治療について」/がん情報サービス「肝臓がん(肝細胞がん) 治療」

手術・焼灼療法・肝移植の位置づけ

遠隔転移のあるステージ4Bでは、原則として手術(肝切除)で根治を目指すことはありません。肝臓のがんだけを取り除いても、全身に広がったがんが残るためです。一方、ステージ4Aでリンパ節転移が限られている場合などには、施設によって手術を含む治療が検討されることがあります。

ラジオ波焼灼療法(RFA)やマイクロ波焼灼療法は、小さく数の少ない病変が対象の治療で、ステージ4では「薬物療法でがんが制御された後に、残った病変を焼く」コンバージョン治療の一部として使われることがあります。

肝移植は、肝臓のがんと肝硬変を同時に治療できる方法ですが、対象は「ミラノ基準(がんが1個なら5cm以下、複数なら3個以下で3cm以下)」や「5-5-500基準」などを満たし、遠隔転移や脈管侵襲がない方に限られます。そのため、ステージ4の段階では原則として適応になりません。

「手術できない」と言われた方も、薬物療法への反応が良い場合には、局所治療の再評価について主治医に尋ねてみる価値があります。判断は施設の経験にもよるため、肝臓がんの診療実績が豊富な施設でのセカンドオピニオンも選択肢です。

出典:がん情報サービス「肝臓がん(肝細胞がん) 治療」(肝移植の基準)

治療の効果はどのように判断する?

治療の効果は、画像検査・腫瘍マーカー・肝機能・症状と生活の変化を組み合わせて判断します。一つの検査結果だけで「効いた」「効かなかった」と決めるわけではありません。

画像検査での判定(CR・PR・SD・PD)

治療開始から一定期間ごとにCTやMRIを撮影し、治療前と比べて病変全体がどう変化したかを評価します。肝細胞がんでは、大きさに加えて、造影剤で染まる部分(がんが生きている部分の血流)がどれだけ残っているかも評価する方法(mRECIST)が使われます。

判定意味
完全奏効(CR)画像上、がんが確認できなくなった状態
部分奏効(PR)がんが一定以上(大きさの合計で30%以上など)縮小した状態
安定(SD)大きな縮小も増大もなく、落ち着いている状態
進行(PD)がんが一定以上大きくなった、または新しい病変が出た状態

臨床試験でよく出てくる「奏効率」はCRとPRの割合、「病勢コントロール率」はCR・PR・SDを合わせた割合です。がんが小さくならなくても、大きくならずに安定(SD)している状態を長く保つことは、それ自体が治療の成果です。

腫瘍マーカーは「推移」で見る

AFPやPIVKA-Ⅱは、1回の数値ではなく、治療前からの推移で評価します。治療開始直後に一時的に上がることや、肝臓の炎症など、がん以外の理由で変動することもあるため、画像と合わせて判断します。

肝機能と生活を保てているかも「効果」の一部

肝臓がんの治療では、がんが縮小しても肝機能が大きく悪化すれば、その後の治療が続けられなくなります。肝機能を保てているか、痛みや食欲などの症状、日常生活を送れているかも、治療の効果を考えるうえで大切な要素です。検査結果の説明を受けるときは、「がんの変化」「肝機能の変化」「次の検査の時期」「治療を続けるか変えるかの判断基準」を確認しておくと安心です。

出典:Lencioni R, Llovet JM. Modified RECIST (mRECIST) Assessment for Hepatocellular Carcinoma/がん情報サービス「腫瘍マーカー検査とは」

肝臓を守りながら治療を続ける【腹水・黄疸・肝性脳症・肝炎ウイルス】

肝臓がんの治療では、「がんを抑えること」と同じくらい「肝臓の働きを守ること」が大切です。肝臓の機能低下による症状の多くには対処法があり、それらを整えることで、がんの治療を続けられる期間が延び、生活の質も保たれます。

腹水:塩分制限・利尿薬・腹水穿刺

腹水には、まず塩分を控えた食事(1日5〜7g程度が目安)と利尿薬(スピロノラクトン、フロセミド、トルバプタンなど)で対処します。お腹の張りが強い場合は、針を刺して腹水を抜く腹水穿刺や、抜いた腹水をろ過・濃縮して栄養分(アルブミン)を体に戻す「腹水濾過濃縮再静注法(CART)」を行うこともあります。「お腹が張って食べられない」は我慢せず伝えてください。

黄疸・かゆみ

黄疸には、肝臓の働きが落ちて起こるものと、がんが胆管を圧迫して胆汁の流れが滞って起こるものがあります。後者の場合は、内視鏡などで胆管にステント(筒)を入れる胆道ドレナージで改善が期待できます。黄疸に伴う皮膚のかゆみには、かゆみ止めの飲み薬や保湿などで対処します。

肝性脳症:便通を整えることが予防の基本

肝性脳症は、肝臓で処理しきれなくなったアンモニアなどが脳に影響して起こります。便秘はアンモニアを増やす大きな要因のため、便通を整えることが予防の基本です。治療には、ラクツロースなどの便通を整える薬、腸内でアンモニアの発生を抑える抗菌薬(リファキシミン)、分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤などが使われます。「最近ぼんやりしている」「昼夜が逆転している」「字が乱れる」といった変化は、ご家族が最初に気づくことが多いサインです。

食道・胃静脈瘤:破裂を防ぐ内視鏡治療

肝硬変がある方は、食道や胃の静脈瘤を定期的に内視鏡でチェックし、破裂のリスクが高い場合は、静脈瘤をゴムバンドで縛る内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)などで予防的に治療します。ベバシズマブなど出血リスクのある薬を使う前にも確認が必要です。

肝炎ウイルスの治療とお酒

B型肝炎ウイルスを持っている方は、抗ウイルス薬(核酸アナログ製剤)でウイルスを抑えることで、肝臓へのダメージや治療中の再活性化を防ぎます。C型肝炎についても、状況に応じて飲み薬による抗ウイルス治療が検討されます。アルコールは肝臓の働きを直接低下させるため、禁酒が原則です。背景にある肝臓病の治療は、がんの治療を支える「もう一つの治療」です。

栄養:筋肉を落とさない

肝硬変があると、エネルギーを蓄える力が落ち、筋肉がやせやすくなります(サルコペニア)。筋肉量の低下は治療の継続や予後に影響するため、主治医・管理栄養士と相談しながら、必要なエネルギーとたんぱく質をとり、就寝前に軽食(200kcal程度)をとる「夜食療法(LES)」やBCAA製剤、無理のない範囲の散歩などの運動で筋肉を保つことが勧められます。

肝機能が低下したときは治療の利益と負担を見直す

治療中に肝機能が大きく低下した場合は、がんへの治療を続ける利益と、肝臓への負担を改めて比べます。薬を休んで肝機能の回復を待つ、治療の強さを下げる、症状を和らげる治療に重点を移すなど、選択肢は一つではありません。どの選択をしても、腹水や肝性脳症への対処と緩和ケアは続けて受けられます。

出典:日本消化器病学会・日本肝臓学会『肝硬変診療ガイドライン』/がん情報サービス「肝臓がん(肝細胞がん) 療養」

緩和ケアは診断時から受けられる

緩和ケアは「最期の医療」ではなく、がんと診断されたときから、がんへの治療と並行して受けられるケアです。痛み・だるさ・腹水・かゆみなどの身体症状、不安や気持ちの落ち込み、ご家族の悩み、費用や仕事の相談までを多職種チームが支えます。

肝臓がんの痛みには、医療用麻薬を含む鎮痛薬を、肝臓の働きに合わせて薬の種類や量を調整しながら使います。適切に使う医療用麻薬が寿命を縮めたり「中毒」になったりすることはありません。痛みを我慢することには何のメリットもなく、体力と食欲を奪って治療の継続を妨げます。

全国のがん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター」や、各都道府県の「肝疾患診療連携拠点病院」に設置された肝疾患相談支援センターは、その病院にかかっていなくても無料で相談できます。「主治医に聞きにくいこと」「家族としてどう支えればよいか」といった相談も可能です。

出典:がん情報サービス「緩和ケア」「がん相談支援センター」/肝炎情報センター「肝疾患診療連携拠点病院」

肝臓がんステージ4の最新治療と臨床試験

肝臓がんは、新しい治療の開発が特に活発な領域です。現在は、①複合免疫療法とカテーテル治療・放射線治療などの局所治療を組み合わせる方法、②新しい免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬の組み合わせ、③複合免疫療法の後にどの薬をどの順番で使うのが最もよいか、といった研究が進められています。局所治療と全身薬物療法の組み合わせについては、主に肝臓内にとどまる段階を対象とした臨床試験で有望な結果が報告されていますが、ステージ4での位置づけはまだ研究段階の部分があります。

研究段階の治療と承認済みの治療を区別する

インターネット上では、学会発表や海外の研究結果が「最新治療」として紹介されていることがあります。ただし、研究で良い結果が出ても、国内で承認され保険診療で使えるようになるまでには時間がかかります。気になる治療を見つけたときは、「国内で承認されているか」「保険が使えるか」「臨床試験として受けられるか」を主治医に確認してください。

臨床試験(治験)の探し方

臨床試験は、主治医に相談するのが第一歩です。自分で調べる場合は、国立がん研究センター がん情報サービスの「がんの臨床試験を探す」や、国の臨床研究データベース(jRCT)で、「肝細胞がん」などのキーワードから実施中の試験を探せます。参加には、肝機能・全身状態・これまでの治療歴などの条件があります。がん相談支援センターでも探し方の相談ができます。

出典:がん情報サービス「がんの臨床試験を探す」/臨床研究等提出・公開システム(jRCT)

標準治療の効果が乏しくなった場合の選択肢

「もう治療がない」と言われてしまうことがあります。しかし、その言葉の意味は多くの場合「保険診療の標準治療の選択肢が残り少ない」ということであり、確認・検討できることはまだ残されています。

①未使用の標準治療の確認:肝臓がんは使える薬の種類が多いがんです。複合免疫療法、分子標的薬(レンバチニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、カボザンチニブ)、ラムシルマブ(AFP高値の場合)のうち、まだ使っていない薬がないか、カテーテル治療や放射線治療を組み合わせる余地がないかを確認します。

②肝予備能の改善:腹水や肝性脳症、肝炎ウイルスのコントロールによって肝予備能が改善すれば、再び薬物療法を受けられるようになる場合があります。「肝臓の数値が悪いから治療できない」と言われた場合は、「肝機能を改善する手立てはありますか」と確認してください。

③がん遺伝子パネル検査:標準治療終了(見込み)で保険適用となり、まれな遺伝子異常に適合する薬や臨床試験が見つかることがあります。

④治験・臨床試験:肝臓がんは新しい免疫療法や併用療法の開発が活発な領域です。参加には条件がありますが、開発中の治療を受けられる可能性があります。主治医・がん相談支援センター・公的な治験検索サイトで探せます。

⑤免疫細胞療法などの自由診療:ご自身の免疫細胞を活性化して体内に戻す治療で、標準治療との併用や、標準治療の継続が難しい場合の選択肢として検討されることがあります。公的保険適用外(全額自己負担)であり、大規模臨床試験による効果の証明は確立していないため、内容・費用・期待できることと限界を十分確認したうえで選択することが重要です。

⑥セカンドオピニオン:コンバージョン治療や肝動注化学療法、粒子線治療などは、施設によって経験や方針に差があります。肝臓がんの診療実績が豊富な施設の意見を聞くことは、納得して治療を進めるための正当な手段です。

当院の肝臓がんステージ4に対する治療【高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法】

日比谷内幸町クリニックは、がん免疫療法を専門とするクリニックとして、肝臓がんステージ4の患者様に「高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法」を提供しています。患者様ご自身の血液から免疫細胞(NK細胞など)を取り出し、約2週間かけて数百倍〜数千倍に増殖・活性化させ、点滴で体内へ戻す治療法です。

【特徴1:標準治療と併用できます】薬物療法、カテーテル治療、放射線治療などの標準治療と併用が可能です。主治医の病院での標準治療を続けながら、当院が免疫細胞療法を担当する連携体制を取るため、転院は不要です。免疫チェックポイント阻害薬による治療中の方は、主治医と治療内容を共有したうえで、併用の時期や方法を個別に判断します。

【特徴2:副作用が少なく、QOLを保ちやすい治療です】ご自身の細胞を用いるため、抗がん剤のような強い副作用は報告されていません(一時的な発熱・倦怠感等が生じる場合があります)。採血と点滴のみの通院治療で、肝臓への負担や体力の消耗を抑えながら続けられます。

【特徴3:標準治療が困難になった場合でも検討できます】「肝臓の機能が低下していて薬物療法は難しい」「これ以上の治療は難しい」と言われた場合でも、採血が可能で全身状態が許す場合には治療を検討できます。

【治療の流れ】①専門医師による無料相談 → ②診察・採血 → ③約2週間の培養 → ④点滴投与 → ⑤経過観察・効果判定。標準治療のスケジュールに合わせて計画を調整します。

【費用・リスクについて】本治療は公的医療保険が適用されない自由診療です(費用は治療内容・回数により異なります。詳しくは治療費用のページをご覧ください)。副作用としてまれに発熱・倦怠感等が生じることがあります。効果には個人差があり、効果を保証するものではありません。

診断されたら:主治医に確認したいこと・ご家族ができること

【主治医に確認したいこと】

  • ステージは4Aですか、4Bですか
  • 転移や血管への広がりはどこに、どの程度ありますか
  • 肝予備能(Child-Pugh分類)はどの程度ですか
  • 提案された治療の目的(延命・症状緩和・根治を目指すか)と、想定される効果・副作用は
  • なぜその薬が第一候補なのですか
  • 静脈瘤の検査や肝炎ウイルスの治療は必要ですか
  • 治療がよく効いた場合、局所治療を追加する可能性はありますか
  • いまの治療が効かなくなった場合の次の選択肢は
  • 治験の情報はありますか
  • 費用の目安と使える制度は

【ご家族ができること】①診察に同席してメモを取る(本人は動揺して聞き取れないことが多い)、②肝性脳症のサイン(ぼんやりする、昼夜逆転、つじつまの合わない会話)に気づいたら早めに医療チームへ伝える、③便通の状況や薬(便通を整える薬など)の飲み忘れを一緒に確認する、④禁酒や塩分を控えた食事を家族ぐるみで支える、⑤医療費助成制度や相談窓口を調べて手続きを手伝う、⑥ご家族自身も緩和ケア・相談支援の対象であることを忘れず、一人で抱え込まない。

治療と生活:副作用との付き合い方・食事・お酒・仕事・医療費

【副作用との付き合い方】副作用が出やすい時期は治療によって異なります。点滴の免疫療法では投与から数週〜数か月後、飲み薬の分子標的薬では飲み始めて数週間のうちに出やすい副作用があります。体温・血圧・体重・便通・食事量・気になる症状を毎日簡単に記録しておくと、受診時に正確に伝えられ、副作用と肝機能の悪化の見分けにも役立ちます。外出や旅行は副作用が出やすい時期を避けて計画し、眠れない・昼夜が逆転するといった変化は肝性脳症のこともあるため、自己判断で睡眠薬を使わずに相談してください。

【食事】「これを食べればがんが治る」という食品はありません。腹水がある場合は塩分を控え、たんぱく質の量は肝性脳症の有無によって調整が必要なため、主治医・管理栄養士の指示に従ってください。健康食品やサプリメントの中には肝障害を起こすものがあるため、使う前に必ず主治医に相談を。また、肝硬変のある方は、生の魚介類(特に夏場)から重い感染症(ビブリオ・バルニフィカス感染症)を起こすことがあるため、加熱して食べることが勧められます。

【お酒】アルコールは肝臓の働きを直接低下させ、治療の継続を難しくします。原因が何であれ、肝臓がんと診断されたら禁酒が原則です。

【仕事】薬物療法の多くは外来通院で受けられ、飲み薬の分子標的薬や数週ごとの点滴であれば、勤務を調整しながら仕事を続けている方もいます。がん相談支援センターで両立支援の相談ができます。

【医療費】保険診療には高額療養費制度が適用され、1か月の自己負担には上限があります。さらに、B型・C型肝炎ウイルスが原因の肝がん・重度肝硬変で所得などの要件を満たす方は、「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業」により、医療費の自己負担が月1万円に軽減される場合があります。対象となる治療や月数などの要件は見直しが続いているため、お住まいの都道府県の窓口や肝疾患相談支援センターで最新の条件を確認してください。そのほか医療費控除、傷病手当金、障害年金、介護保険(40歳以上で末期がんと診断された場合)などの制度があります。医療ソーシャルワーカーに早めに相談してください。

出典:厚生労働省「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業」/がん情報サービス「がんとお金」

肝臓がんステージ4に関するよくある質問(FAQ)

肝臓がんステージ4は末期がんと同じですか?

いいえ、同じではありません。末期がんとは「治癒を目指した治療に反応せず、治癒困難と医師が判断した状態」を指す言葉で、病期とは別の概念です。肝臓がんステージ4でも、肝臓の働きが保たれていれば複合免疫療法や分子標的薬、カテーテル治療、放射線治療など行える治療は多く残されており、治療で病気を抑えながら過ごしている方がいます。

肝臓がんステージ4の生存率はどのくらいですか?

国立がん研究センターの院内がん登録によると、肝細胞がんステージ4の5年生存率(ネット・サバイバル)は4.4%です(2014〜2015年診断例)。ただしこの数字は、肝機能が低下して治療を受けられなかった方も含む、複合免疫療法が登場する前の時代の平均値です。現在の治療の効果は反映されておらず、個人の余命を決める数字ではありません。

肝臓がんステージ4の余命はどのくらいですか?

一律には決まりません。切除不能な肝細胞がんを対象とした臨床試験では、複合免疫療法の全生存期間中央値が約16〜24か月と報告されており、デュルバルマブ+トレメリムマブでは5年生存率19.6%という結果も出ています。肝予備能(Child-Pugh分類)、転移の広がり、治療への反応によって大きく異なるため、ご自身の見通しは主治医に確認してください。

肝臓がんステージ4でも完治しますか?

遠隔転移のあるステージ4の完治は一般に困難ですが、例外はあります。複合免疫療法で画像上がんが消える「完全奏効」が一部の方に報告されているほか、薬物療法でがんが縮小した後に手術や焼灼療法などを加える「コンバージョン治療」で、薬を休止できる状態に至った例も報告されています。治療がよく効いたときは、局所治療の追加について主治医に相談してください。

大腸がんの肝転移は「肝臓がんステージ4」ですか?

いいえ、別の病気として扱います。大腸がんが肝臓に転移した場合は「大腸がんステージ4(肝転移)」であり、治療は大腸がんの薬や手術の方針に沿って行います。肝臓そのものから発生する肝細胞がんとは、使う薬も見通しも異なります。膵臓がん・胃がん・乳がんなどの肝転移も同様です。ご自身の診断名を主治医に確認してください。

ステージ4Aと4Bの違いは何ですか?

日本の分類では、リンパ節への転移がある(または肝臓内のがんが進行している)状態がステージ4A、肺・骨など離れた臓器への遠隔転移がある状態がステージ4Bです。4Aでは肝臓内の病変とリンパ節をあわせて局所治療を組み合わせることがあり、4Bでは全身に効く薬物療法が治療の中心になります。

「肝臓の機能が悪いので治療できない」と言われました。

肝臓がんでは、肝臓の余力(肝予備能)が低下していると、がんへの治療が肝不全を招くおそれがあるため、治療が制限されることがあります。ただし、腹水や肝性脳症、肝炎ウイルスのコントロールで肝予備能が改善すれば、治療を再開できる場合もあります。「肝機能を改善する手立てはありますか」と主治医に確認してください。症状を和らげる緩和ケアも並行して受けられます。

肝臓がんステージ4ではどの薬を使いますか?

肝臓の働きが保たれている方の一次治療では、アテゾリズマブ+ベバシズマブ、デュルバルマブ+トレメリムマブ、ニボルマブ+イピリムマブなどの複合免疫療法が中心です。自己免疫疾患がある方などでは、レンバチニブなどの分子標的薬を選びます。効果が乏しくなれば、レゴラフェニブ、カボザンチニブ、ラムシルマブ(AFP高値の場合)などに切り替えます。

免疫チェックポイント阻害薬の副作用は?

脱毛や強い吐き気は少ない一方、免疫が自分の臓器を攻撃する「免疫関連有害事象」が起こることがあります。皮膚の発疹、下痢・大腸炎、肝炎、甲状腺などホルモンの異常、肺炎などで、治療終了後に現れることもあります。早期に対処すれば多くはコントロールできるため、いつもと違う症状があれば早めに医療チームへ連絡してください。

治療はいつまで続きますか?

薬物療法は、効果が続き、副作用や肝機能の面で続けられる限り継続するのが基本です。効果が乏しくなった場合や副作用・肝機能の悪化で続けられない場合は、次の治療に切り替えるか、休薬を検討します。複合免疫療法がよく効いた方では、局所治療を加えて薬を休止できる状態を目指す「コンバージョン治療」が検討されることもあります。

治療には入院が必要ですか?

複合免疫療法や分子標的薬による薬物療法の多くは外来通院で受けられます。初回投与や副作用の確認のために短期間入院する施設もあります。TACEや肝動注化学療法などのカテーテル治療は、一般に数日〜1週間程度の入院で行われます。スケジュールは施設や治療内容によって異なるため、主治医に確認してください。

仕事を続けながら治療できますか?

通院での薬物療法であれば、勤務を調整しながら仕事を続けている方もいます。点滴の日や副作用が出やすい時期に合わせて休みを取る、在宅勤務を活用するなどの工夫が役立ちます。体調の周期がつかめるまでは無理をせず、職場の理解を得ることも大切です。がん相談支援センターでは治療と仕事の両立の相談ができます。

腹水がたまってお腹が苦しいです。どうすればいいですか?

塩分を控えた食事と利尿薬が基本で、張りが強い場合は腹水を抜く腹水穿刺や、抜いた腹水から栄養分を戻す腹水濾過濃縮再静注法(CART)も行われます。お腹の張りは食欲や体力を奪い、治療の継続にも影響するため、我慢せず主治医に相談してください。急に張りが強くなった、尿が極端に減ったときは早めの受診を。

肝性脳症とは何ですか?家族が気をつけることは?

肝臓で処理しきれなくなったアンモニアなどが脳に影響し、ぼんやりする、昼夜逆転、つじつまの合わない会話、手の震えなどが起こる状態です。便秘が大きな誘因になるため、便通を整える薬を指示どおり飲み、排便を毎日確認することが予防の基本です。変化に最初に気づくのはご家族であることが多いため、気になる様子があれば早めに医療チームへ伝えてください。

お酒はやめるべきですか?食事で気をつけることは?

はい、禁酒が原則です。アルコールは肝臓の働きを直接低下させ、治療の継続を難しくします。食事は、腹水がある場合は塩分を控え、たんぱく質の量は肝性脳症の有無で調整が必要なため、主治医・管理栄養士の指示に従ってください。健康食品やサプリメントには肝障害を起こすものもあるため、使う前に必ず相談を。

医療費の助成制度はありますか?

保険診療には高額療養費制度が適用され、月の自己負担に上限があります。さらに、B型・C型肝炎ウイルスが原因の肝がんで所得などの要件を満たす方は、「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業」により自己負担が月1万円に軽減される場合があります。要件は見直しが続いているため、都道府県の窓口や肝疾患相談支援センターで最新の条件を確認してください。

免疫細胞療法は標準治療と併用できますか?

当院の高度活性化NK細胞療法プラス4種複合免疫療法は、薬物療法・カテーテル治療・放射線治療などの標準治療との併用が可能です。免疫チェックポイント阻害薬による治療中の方は、主治医と治療内容を共有したうえで、併用の時期や方法を個別に判断します。なお本治療は公的保険適用外の自由診療です。詳しくは無料相談でご説明します。

まとめ:肝臓がんステージ4でも、治療の選択肢は増えています

肝臓がんステージ4は厳しい病状であり、その事実をごまかすことはできません。しかし、「ステージ4=何もできない」ではありません。この数年で複合免疫療法が相次いで登場し、5年以上生存する方が約2割という臨床試験の報告も出ています。カテーテル治療や放射線治療、治療がよく効いた場合のコンバージョン治療など、肝臓がんならではの選択肢もあります。

大切なのは、①生存率は「平均」であって運命ではないと知ること、②「がんの広がり」と「肝臓の余力」の2軸でご自身の状態を把握すること、③腹水・肝性脳症・肝炎ウイルス・飲酒など「肝臓を守る」ためにできることを確実に行うこと、④治療の選択肢(二次治療・局所治療・治験・免疫細胞療法・セカンドオピニオン)を早めに整理しておくことです。

日比谷内幸町クリニックでは、肝臓がんステージ4の患者様とご家族を対象に、専門医師による無料相談を実施しています。「標準治療と併用できる治療を探している」「肝臓の機能が低下して治療が難しいと言われた」という方は、お一人で悩まず、お気軽にご相談ください。(受付時間:平日9:00〜17:00/お電話・WEBフォームで受付)

参考文献

監修

日比谷内幸町クリニック 院長 禹 雅祥(う まさよし)/日本外科学会員 医師紹介ページ

本ページの情報は一般的な医学情報であり、個々の診断・治療方針に代わるものではありません。統計値・薬剤情報は公開日時点の公開情報に基づきます。治療効果には個人差があります。ご自身の病状については主治医にご確認ください。

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