- 日比谷内幸町クリニック
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- 症例7:胃癌(胃がん)⇒腹膜播種・両卵巣転移
高度活性化NK細胞療法の治療事例
症例7:胃癌(胃がん)⇒腹膜播種・両卵巣転移
全身転移を伴う胃がん
抗がん剤と複合免疫細胞療法を併用して、腹膜播種の切除に成功。
手術後も高度活性化NK細胞療法のみで再発せずに経過!
51歳女性
平成22年4月に人間ドックにて、胃がんの診断を受けた患者様です。
以前より胃痛は出現していましたが、市販薬で対応されていました。
その間に症状は進行し、胸のつかえ感、腹部膨満感が出現。
ついに嘔吐を繰り返すようになり、慌てて人間ドックを受けられました。
精密検査の結果、診断は胃がんのステージU。
「腫瘍は胃の表面までは進行していないものの、胃に接したリンパ節へは転移しているだろう。」
これが主治医の見解でした。
しかし、実際に開腹してみると、腹膜への転移を認め(腹膜播種)、腹水も貯留。卵巣への転移も強く疑われる状態でした。
その為、今後の狭窄(食事の通過障害)予防目的として、胃の全摘出のみが行われました。
ご家族には手術中に「ステージW」の宣告。余命半年という厳しい予後の告知がなされました。
娘様には、確定診断を受けた時点から当院へお問い合わせを頂いており、当初は手術後の再発・転移予防での高度活性化NK細胞療法が検討されていました。
しかし、予期せぬ宣告にショックを受け、その場から泣きながら、ご相談のお電話を頂きました。
当院では専門的医療知識を持った相談員が電話対応をしており、主治医から説明を受けた病状を元に、今後の治療方針や経過を予測します。
この患者様には一刻も早い治療導入が必要であり、また今後は抗癌剤の導入も予測された為、NK細胞の採取(採血)タイミングなどを含め、ご家族がすぐに
治療準備に入れるようアドバイスをさせて頂きました。
結果として、この患者様は手術から約2週間後の平成22年6月末には当院を受診。
腹膜播種手術の専門外来を受診することも検討されており、その医師が薦める樹状細胞を用いた治療の導入を希望されます。
診察の結果、複合免疫細胞療法の導入が適応となり、細胞採取(アフェレーシス)が行われました。
平成22年7月より、腹膜播種の術前抗癌剤投与が開始。
平成22年7月中旬から、複合免疫細胞療法の併用治療が開始されます。
胃全摘術後であり、食事摂取が思う通りに進まない中、全身状態の悪化や、他臓器への新たな転移も認めず、驚くほどに順調な経過を辿ります。
術前抗癌剤も、当初は毎週投与の強化メニューが予定されていましたが、複合免疫細胞療法の併用により、血液データの改善も早く、1回/2週の
抗癌剤投与を3回・複合免疫細胞療法を1クール行った平成22年9月に腹膜播種の手術が施行されました。
手術の内容は、転移を認める腹膜・腹部リンパ節・卵巣の切除。及び、予防的に胆嚢・脾臓の摘出が予定されていました。
これはかなりの大手術であり、胃全摘にて体重が41kgから38kgまで減少していた患者様への負担は、図り知れないものでした。
その為、手術後の早期に高度活性化NK細胞療法の導入が重要と判断し、手術前に採血(NK細胞採取)を行いました。
手術は予定通りに終了。
また、手術直後の抗癌剤投与で、予想外に腎機能が低下してしまいました。
一時は腎不全に近い状態まで悪化し、透析が導入されるほどでした。その後、腎機能は回復したものの、今後の抗癌剤に耐えられる程の改善は
されませんでした。その為、高度活性化NK細胞療法のみで、手術後の治療を行うことになりました。
この患者様の場合、すでに他臓器へ転移を認める「ステージW」の状態であり、見た目上は全ての癌細胞の摘出はされていますが、目に見えないレベルの癌細胞が残存している状況でした。 手術2ヶ月後の平成22年11月の腫瘍マーカーは高値を示しており、更なる上昇が懸念されました。
しかし、平成22年10月下旬より高度活性化NK細胞療法を導入し、腫瘍マーカーはみるみる低下をしていきます。 平成23年1月の高度活性化NK細胞が1クール(1回/2週・6回投与)が終了する頃には、腫瘍マーカーは以下まで低下し、
- CEA 14.3 → 9.7 (正常値5.0ng/ml以下)
- CA19‐9 33.4 → 29.6 (正常値37U/ml以下)
- CA125 135 → 25 (正常値35U/ml以下)
CTでも、再発は認められていません。
非常に理想的な状態が、手術後8ヶ月経過した現在(平成23年5月)も維持されており、高度活性化NK細胞療法も順調に継続されています。
この患者様は短期間に大きな手術を2回も経験され、体力的にも精神的にも大きな負担を負われています。
体調的にも万全な状態とは言えませんが、最近は食事摂取も可能になり、著しく低下していた体重も増えてきたと言います。
やっと、自覚的にも改善の階段を登り始めたばかりですが、手術室で告知された「余命半年」はとうに過ぎ、程なく1年を迎えようとしています。
この患者様のような目まぐるしい効果が表れる症例は、非常に稀だと思います。
しかし、医療現場の中では「ステージW」の宣告と共に、「手術適応外」「抗癌剤治療の効果は期待できない」など、患者様を見放すようなような宣告が、
当たり前のようになされている現実があります。
私たちは多くの患者様が明日を信じて戦えるよう、常に最善の治療のお手伝いをしていきます。
「ステージWでも決してあきらめてはいけない、それが私たちの結論です。」
※当クリニックにおける高度活性化NK細胞療法の治療例です